もう1億円貯めてFIREで良くない?30代億り人医師に話を聞いてみた
資産1億。医師免許とともに色々やれば、勤務医でも届く金額です。今回は知り合いの30代億り人くんに実態を聞いてきました。心に余裕がある一方、モチベーションの問題で困るそうで…。30代医師のFIREの話ってあまり出回らないのでレア情報の可能性?
目次
本記事について
Q. 一億円をどうやって貯めたの?
初期研修を終えたあと、バイト代が高い額で流通している某診療科になった。専門医を取るまでは普通に働いたよ。普通に生活しているだけだったけど、年間500万くらい貯金ができた。専門医取得後は年収2500万になるように調整して働いて、貯金は年間1000万円くらいだったかな。
いや、貯金は投資に回したんだけど、安パイに米国株価指数のS&P500を積立で買った。投資素人だったから途中でマズい投資判断も多かったんだけど、1000万円貯まる給与水準ならBuy and Holdでいいじゃん、って思って。
そこから気分での売買をやめて、運用成績は順調に改善していったんだ。S&P500は5年で2倍くらいに上がったんだけど、僕の30代前半までに貯めたお金もだいたい2倍になった。それで、37歳で純資産1億円に届いたって感じ。
働き方も、貯金の仕方も、投資も、どれも特別な才能なんて必要ない。僕はどこにでもいる普通の、むしろスペックが低いくらいのお医者さんだよ。
Q. 普段はどんな生活をしているの?
週2日だけ馴染みの病院でバイトしているよ。仕事が終わったらすぐ帰る契約にしてもらっているんだ。残り週5日は家で好きなことしてるかな。サイドFIREってやつだね。
平日の昼間からずっとゲームをしたり、バジル育ててピザつくったりとか、趣味に時間をたくさん費やすようになった。あとは、子どもたちが帰ってきたら一緒に遊んで、ご飯食べさせてお風呂いれて。とにかく楽しいね。職場で消耗しないからイライラすることもない。ゆとりのあるメンタルで子どもを見ることができるって幸せだよ。
ただ、社会に貢献できる生産活動はほとんどしていないから、子どもたちが巣立ったらあとは朽ちるだけかな...でも、それでも良いと思っているよ、社会貢献のモチベーションより、子どもとの時間を、っていう取捨選択をしたんだから。そこは自己責任の結果として受け入れることにしている。
Q. 今の収入フローは?
バイトが週2日間だけど、その手取りが大体年間700万円くらい。あとは投資の利益だけど、かなり安定的に税引き後4%と見積もっても年間400万円はあるね。つ まり、合計の手取りは年間1100万円。
手取り1100万円って、年収1700万円相当だから、そこそこのお医者さんって感じかな。実際の投資成績はもうちょっと良いけどね。
Q. 今の生活で困っていることは?
ずばりモチベーション!
例えば、勤務を増やして週5日で年間2000万円にすることは、今の僕からすれば難しくはないと思うんだけれど、税金で結局手取り1200万円にしかならない。今のバイト収入との差を勤務時間で割ると、時給2700円になっちゃうんだよね
2700円のために、小さい子供と遊ぶ思い出捨てる?って考えるとやる気にならないんだよね。医師としての後進育成も楽しいかもしれないけれど、今の時代はEvidenceも整備されていて基本的なところはみんな一瞬でマスターできるし、Evidenceの外にあるマニアックなコツなんか誰も興味ない。みんな淡々とこなすように仕事したいからね。
だったら開業する?って言われると、それも面倒だね。X(Twitter)を見ていると、開業医の仕事は単純作業と看護師事務職員の人間関係の処理に時間を持って行かれることなんだなって、感じちゃうし。借金をして、人のいざこざに巻き込まれて、ストレスいっぱい。それで今と収入水準はほぼ変わらない。現金を失うから投資収益が激減するし。
そう考えると、勤務医としても開業医としても、医師としての人生でモチベーションを刺激される道が見つからないんだよね。八方塞がり状態ってやつだ。Mid life crisisかもしれないけど、とにかく人生のやりがいが子ども以外にないってのは困ってはいるよ。
Q. 専門医更新はするの?
年収2500万円になって、そろそろ1億円貯まるだろうって思ったときから、専門医の更新はしないことを決めた。専門医の維持目的は、広告として有用だからするわけだけれど、自分にとっては金銭以上に時間の喪失が大きい段階になっちゃうからやめちゃった。
しかも、お金が溜まったあとって専門医資格は使わないよね。専門医資格がなくても、給与水準を2割下げれば転職できるし、開業するにしても現職の専門医かは多くの患者さんはチェックしないしね。
もちろん専門医の存在自体は素晴らしいものだと思うよ。目標にもなるし、専門性が高いことをやるのは、人生の核としていい選択肢だとは思う。単に僕の人生プランがそうじゃなかったってだけ。
Q. 不動産購入はしている?
いや、不動産は買わないで賃貸で暮らしているよ。ついつい、お金がたまると自宅を建てたくなると思うんだけれど、現金を失うってことは、投資規模が小さくなって投資利益が減るってことを意味する。
不動産も資産ではあるけれど、自分が住むための住宅は消費財とみなしているからね。あとは、自由に住み替える権利という面もあるかな。この3年だけ見ても日本は大きく変わった。人生の最適居住地ってどんどん変わるし、子どもの成長に合わせて引っ越すのも合理的かなって。だから自宅は買っていない。
もちろん、投資用不動産については話は別だけれどね。不動産投資は良いと思う。あとは、自宅を買って理想的な住まいに住みたいって選択も全然素晴らしいことだと思うよ。
お金が貯まったとき、自分の人生とはなにか?という問題に直面した。
僕が感じていることは、とにかく労働は労働以外のところが面倒だってことだね。就業時間とか規則とか、集団の維持のために自分の人生を削らないといけない。開業は当たれば大きいけれど、命を捨てて稼がないと成功しない。人のいざこざに引っ張られる。労働の本体部分じゃないところが面倒、っていうのが医師業だと思う。多職種もそうだろうけれどね。
僕はお金が貯まってから、自分の人生とは何か?という問題に直面した。専門性を追求するスペックの人ではなかったし、労働の退屈さを我慢してまでやりたくなかった。社会貢献も自分のエゴだと思った。資本主義にのってFIREを選ぶのもいいけど、全部幸せってわけじゃない。これは読者の方に知っておいてほしいかな。
この記事のライター
KCP ニッチな麻酔科ライター
フリー麻酔科医のライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。仕事依頼などはX(Twitter)のDMから。https://twitter.com/KCP58227768
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