君たちはどう生きるか。医師3年目の病院選びは人生の最大の選択!

初期研修マッチングまでは、悩むことはあったとはいえ、決められた制度の中での進路決定です。しかし、3年目の進路選択は、とうとう人生の大選択になります。潰しを考えるときではなく、自分がどう生きるかの選択のときです。時代が変遷する中、現代の3年目進路はどのように考えたらよいでしょうか。

君たちはどう生きるか。医師3年目の病院選びは人生の最大の選択!

目次

  1. 5年前の医局中心の状況とは違う世界になってしまった
  2. まずは自分自身の人生の方向性を定めましょう
  3. 専門性を追求したいなら、ちゃんとした指導者がいるところで
  4. プライベート重視なら割り切りも大事
  5. テキトーでも大丈夫。最終的に人を雇って開業すればよい

5年前の医局中心の状況とは違う世界になってしまった

かつて、後期研修先の選び方のテンプレといえば、初期研修の間に志望科を決め、初期研修病院に人事権がある大学医局に入局する、が王道でした。日本の大企業の終身雇用制度の医師業界版とも言える王道ですが、昭和平成の慣習が令和の今、社会と合わなくなってきています
言うまでもなく、現代の労働ではやりがい搾取の回避が当然になりましたし、家庭との両立も当然の権利になりました。職場の高齢化も著しいです。患者も高齢化している上に、看護師を中心に若手の離職が著しく職場全体が高齢化していています。

また、医療を取り巻く経済状況も大きく変化し、コロナの流行とその後のインフレ・円安、診療報酬削減と、保険診療に逆風が吹いています。都心では開業過多、地方では人口不足と労働力不足でいずれにせよ開業難易度は跳ね上がっています。

KCP ニッチな麻酔科医
KCP ニッチな麻酔科医
地方だと、この5年で患者の平均年齢もスタッフの平均年齢も5歳くらい上がった印象です。

このように、多くの入局者が義務として負わなければならない、やりがい搾取、家庭の犠牲、高齢化する現場、そして低収入が嫌気され、そしてご褒美として得られる専門医取得や開業への旨味が減少してしまい、医局に入るのが危険とすら考える人も増えてきたように思います。

とにかく、コロナ前の5年前の世界とは大きく変わってしまいました 昭和から脈々と続く「医局人事に乗る」が、果たして安全なのか、自分の人生においてプラスになるのか、冷静に考えてください。慣例にとらわれず、医局に任せず、自分の人生設計を自分でやる時代になったのです。

KCP ニッチな麻酔科医
KCP ニッチな麻酔科医
直接美容に進路を切る「直美」も話題ですが、結局美容がどうこうではなく昭和平成的な進路慣習が崩壊しただけだと思います。
筆者は医局をはじめとした専門性の高い医療の行方を不安視しています。
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まずは自分自身の人生の方向性を定めましょう

自分の人生を自分で設計する時代。3年目の病院選びは、人生設計から逆算して決めるのが良いと思います。ここで、どんな進路でも、まず前提として考えてほしいことがあります。

専門医は転職や広告のツールであり、ゴールではない

専門医は、ビジネス的には就職や開業後の広告にしか使いません。そもそも転職が簡単な地域とか、専門性の低い開業をするつもりとかなら、専門医取得にかかる時間や手間、機会利益の損失を補填できません。専門医の価値は認めますが、人生をかけてまで取得するものかよく考えましょう。やりがいは安く買い叩かれるのです。また専門医取得後目標を失って人生ロスになる人も多いです。なんのための専門医か考えましょう。

いつまでに稼ぎ切るのか、開業をするのかしないのか

これまでの時代、医師キャリアは「いつ稼ぐのか」が漠然としている人が多かった上に、収入確保が人生の後半にあり、体感の人生の豊かさを得られにくいことが多かったように思います。

しかも、この先の時代は開業すればとりあえず成功する時代ではないでしょう。一生分生きるために必要なお金を、医師キャリアのどの段階でどのように稼ぐのかを、大まかにでも決めておきましょう。そこを定めれば3年目何をすべきかが見えてくるはずです。

人生のスタミナは有限である

人の頑張る力には必ず限界があり、メンタルは消耗品です。私の周囲を見渡しても、人生のどこかでメンタルにきて休んだり辞めたりしている人のほうが多いです。いつまでも頑張れるなんて決して思わず、どこかでつまづくと思って進路を計画しましょう。

「なんとなく有名ハイパー病院に行って無理してハイパー人間に合わせて働く」とかはやめといたほうがいいと思いますよ。

専門性を追求したいなら、ちゃんとした指導者がいるところで

興味のある分野で専門性を追求する人生にしたいなら、指導体制が整っているところに進むのがいいと思います。特に師匠と呼べるような指導者がいるかはとても大事だと思います。

診療技術はもちろんのこと、人格形成でも大きなメリットがありますし、将来後輩を教える喜びを感じるようになったときにも必ず師匠がいたことは役に立ちます。

プライベート重視なら割り切りも大事

程よく稼いで、程よくプライベートも、という人も多いと思います。この場合の後期研修選びは軸がないのでとても難しいです。というか満足と思える就職先は存在しないのではないでしょうか。

「まあいっか」で就職先を決めることになると思いますが、たぶんどこを選んでも大して満足度は変わらないでしょう。お金とか場所とか重視するところを定めて、あっさり決めてしまってもいいと思います。

テキトーでも大丈夫。最終的に人を雇って開業すればよい

自分がダメ人間だと思うなら、それも良いのではないでしょうか。まったり働いてもなんとかなるのが医師免許です。自分の人生を守りましょう。

3年目の進路もテキトーで大丈夫です。その後の人生、バイトだけでも生活が破綻することはないでしょう。
自分が全くの無能で何もできなくても、開業して人を雇って診療してもらえばいいんです!診療能力がなくても投資の決断力とビジネスセンスで生きていけます。これも医師免許の素晴らしいところ。

3年目は自分の人生の選択です。正解はありませんし、過去の常識も他人も意見も役に立ちません。背伸びせず、他人に流されず、正直自分の望む進路を追求しましょう。

KCP ニッチな麻酔科ライター

この記事のライター

KCP ニッチな麻酔科ライター

フリー麻酔科医のライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。仕事依頼などはX(Twitter)のDMから。https://twitter.com/KCP58227768

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