繰り返される医クラ界隈の論争...炎上しがちな「ママ女医」の話題

SNSで定期的にママ女医に対するネガティブな話題が盛り上がります。いろんな立場からママ女医に対する批判や擁護の意見が飛び交い、いつしか忘れられ、時をおいてまた同じ話題が復活します。本記事は毎回出てくる意見をまとめつつ、一歩引いた視点からママ女医問題を考えてみました。

繰り返される医クラ界隈の論争...炎上しがちな「ママ女医」の話題

目次

  1. また登場した「ママ女医」の話題
  2. ママ女医話題のご意見一覧
  3. 結局は、労働者のポジショントークである
  4. 大人の幸せは、取捨選択しなければならない
  5. ママ女医問題は、幸せを並立できない労働者の嘆きでは

また登場した「ママ女医」の話題

これを執筆している2024年10月 、X(Twitter)でママ女医に対する(主にネガティブな)話題が盛り上がりました。

はじめに言っておきたいのですが、ママ女医の話題はずーっと昔からあります。SNSが始まった時代から同じ話をしてますし、おそらくSNSが存在しなかった時代もあったのでしょう。テンプレ的に同じ話題がいくつかあり、毎度過去と同じ意見を述べる人が現れます。どんな意見も過去の焼き直しです。

結論も正解もないまま、いつの間にか飽きて忘れられた話題になり、時間をおいてまた同じ話題が復活します。

KCP ニッチな麻酔科医
KCP ニッチな麻酔科医
筆者は麻酔科ですが、ママ女医が多い社会のため、話題に触れる機会が多い診療科です。

何十年も経って社会は大きく変わったというのに、昔と同じ話題で同じ意見が通用するのはある意味おもしろいと思います。変わったのは社会の表面的な部分だけなんでしょう。出産育児や資本主義の仕組みのような、世界の根底の部分はなかなか変えられないことの証でもあると思います。

結局どんな意見を思いついても無駄なので、「またこの話か」くらいに流すのが紳士淑女の振る舞いだと思います。

ママ女医話題のご意見一覧

SNSの流し読みはどうしても立場が偏ります。そこでブログという媒体の強みを活かして、極力偏らないようにママ女医の話題についてまとめてみます。 

私は現場のママ女医。育児も家事も仕事も頑張っていて-

  • 自由なキャリアが積めなくて悲しい
  • 他の人と同じ戦力扱いされなくて悲しい
  • 私の仕事量と、他のママ女医の仕事量に差があってずるい
  • 私は仕事を減らしていて申し訳ない

私はママ女医ではない現場医師で

  • ママ女医より働いているのに給料が同じでずるい
  • 申し訳無さそうにさえしないママ女医はおかしい
  • ママ女医は義務免除を受けながらバイトや権利主張はしないでほしい

私はご意見屋で

  • 祖父母の協力が大切だ
  • 家庭で解決すべき問題だ。家庭と仕事の評価は独立だ
  • 雇用とか労働の問題だ。賃金に差をつけるなどで解決しよう
  • 家族との時間は大切だ
  • 恨みを買う行動をするママ女医個人の性格の問題だ
  • その他( 麻酔科の話/開業すれば?/またこの話か)

結局は、労働者のポジショントークである

上の一覧を平準に眺めると、結局どの発言者もポジショントークであることがわかります。ママ女医の属性があろうとなかろうと、働くやつは頑張るし頑張らないやつは頑張らない。頑張らないやつはママ女医の属性を手に入れたら当然利用しようとしますよね。

もう一つ平準に眺めてわかることは、開業医や経営者の意見はほとんど見られない、ということ。ママ女医という話題は、病院勤務医の中のごく狭い社会での争いであることがわかると思います。自分の人生と従業員の命ををかけて経営している人からみたらおそらく、大した問題ではないことを言い合っている、くらいにしか見えないのかもしれません。

大人の幸せは、取捨選択しなければならない

人生の幸せのカタチは色々あります。

  • 仕事の幸せ
  • 家庭や育児の幸せ
  • 金銭、時間、体力、自由の幸せ

おそらく多くの人が、すべての幸せを手に入れたいと願うでしょう。

高度な医療や研究をして、高学歴イケメンor美女と結婚して子どもを授かり、安定した収入で資産を築き、老後はまったりのんびり暮らす。

こんな昔のおとぎ話のような人生を想像しているのではないでしょうか。

X(Twitter)でママ女医話題に遭遇するような読者諸氏は気づいているはずです。こんな人生は、2020年代のサラリーマンは転がっていないということを。実際はこのうち1つを得られれば御の字。2つ以上両立するのには必死の努力と生まれ持った才能。全て得るには、命をかけて開業するなどリスクテイクが必要です。 

ママ女医問題は、幸せを並立できない労働者の嘆きでは

ママ女医問題は、3つの幸せを並立できない勤務医サラリーマンが、それぞれの立場から悲しみを述べているという点では共通しています。仕事と育児に体力を奪われる人。育児と時間を重視して仕事を犠牲にしている人。同僚(=仕事)にプライベートを奪われる人。

勤務医はサラリーマンです。リスクを取らずサラリーマンをしている以上は、なにかしら幸せになれないことを我慢するしかない。ママ女医問題は、昔のおとぎ話の世界から離脱できない労働者が、甘えながら夢を見ている次元の話と一蹴されるべき話かもしれません。

「開業すれば?」とのコメントが、一番真理を突いているのかもしれませんね。

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KCP ニッチな麻酔科ライター

この記事のライター

KCP ニッチな麻酔科ライター

フリー麻酔科医のライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。仕事依頼などはX(Twitter)のDMから。https://twitter.com/KCP58227768

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