医師と出会いたい方に知ってほしい!若手医師キャリアの概要とは?

医師と出会いたい医療職以外の方に向けて、医師業にまつわることを紹介していきます。特に今回は、医師や医学生の義務や制度について解説します。医師や医学生は、プロフェッショナルになるために20代の時間を縛られながらも、素敵な出会いや恋愛に挑戦したいと思っています。

医師と出会いたい方に知ってほしい!若手医師キャリアの概要とは?

目次

  1. 医学部は卒業するのに6年かかる
  2. 国家試験の合格率は90%越え
  3. 大卒後、2年間の義務期間「臨床初期研修」
  4. 義務年数が長く、ライフイベントが遅れる傾向にある
  5. 初期研修後は、診療科を決めて専門家としてのスタート
  6. 「医局」という組織所属が求められる事が多い
  7. ワークライフバランスの考え方は、出会った頃にお話したほうがよい

医学部は卒業するのに6年かかる

医師を目指す場合、高校を卒業後、医学部に進学します。日本の医学部医学科は法律で6年制と定められているため、最短で卒業するのは24歳になる年度です。 

国家試験の合格率は90%越え

大学6年生の2月には、医師国家試験を受験します。合格すれば医師免許を取得できます。国家試験の合格率は約90%ほどで、 狭き門ということはありません。もちろん不合格の場合、翌年以降に再受験が可能です。ということで医学部生は基本的には医師になれるものとご理解いただいて良いと思います。

大卒後、2年間の義務期間「臨床初期研修」

こうして6年制の大学課程を卒業し、医師国家試験に合格すると 、晴れて医師になれます。しかしこの時点では、仮免許みたいな医師免許なのです。フルスペックの医師免許を得るには、さらに2年間の「臨床初期研修(初期研修)」が必要です。この期間は「研修医」として一つの病院に所属し、いろいろな診療科で指導を受けながら働くことになります。

 初期研修を経ないと、 「保険証を使って受診する」枠組みには入れないことになってしまい、実質的に医師としての業務を行うことができません 。そのため、初期研修は事実上義務とみなしてよい期間です。この期間は、実務上でもプロとしての扱いは受けないと言って良いでしょう。
給料は病院から支給されますが、年収はだいたい300万円から700万円の範囲が一般的です。 大学院卒の20代後半の平均年収は500万弱ですから、同じような給与水準とご理解いただければいいでしょう。

義務年数が長く、ライフイベントが遅れる傾向にある

2年間の初期研修が終わるのは最短で26歳になる年度になります 。ようやくここでフルスペックの医師免許になり、自由度をもって仕事を選ぶことができるようになります。 26歳という年齢は、4年生大卒者にとっては社会人としての4年目にあたりますね。この時期には、それなりの社会経験を積み、転職や将来の計画を自由に検討することができるでしょう。

医師という職業は、制度に長期間拘束され 、
4年遅れて社会に出ることになります。この間は働き方の自由も少なく、貯金も少ないことから、うしてもライフイベントが遅れるし、結婚を焦る(特に女性)傾向があるように思います。

初期研修後は、診療科を決めて専門家としてのスタート

こうしてフルスペックの医師免許取得に8年を費やしましたが、この時点では専門性は乏しくプロの医師として市場の要求に答える能力はありません。多くの人は、診療科を選び、専門性を深めるために働き始めます。
専門性をもった医師として一つの目標になるのが「専門医」の肩書きを得ることです。

「医局」という組織所属が求められる事が多い

 「◯◯科専門医」を名乗るためには、えらい組織が定めた、一定の実務経験を積むことが要求されます。通常だと3~5年くらい(30歳くらいまで)の実地経験で専門医の肩書きが得られるのですが、診療科目によっては、この実務経験を積むのに「医局」という組織に所属する必要が出てきます 。「医局」というのは、地元大学病院の教授をトップとした◯◯科医師のグループ、のような組織です。
医局の機能の一つに人事権があります。提携病院への医師の配置や異動を決定することができます。 医局に所属する医師は、会社の出向のように様々な病院に異動することになります。
異動の範囲は通常、都道府県内に限られますが、時には都道府県をまたいだり、全く異なる地域に異動することもあります。近場の異動でも引っ越しが必要だったりしますし、遠距離の異動なら遠距離恋愛になったり、結婚後単身赴任になることがあり得るということです。 医局にいると、多少なりともプライベートの犠牲が伴います。

もちろんすべての診療科がプライベートの犠牲が多い、というわけではありません。プライベートの犠牲の少ない診療科や医局を選んでワークライフバランスを取る人もいますし、そもそも専門医を目指さない人もいます。

ワークライフバランスの考え方は、出会った頃にお話したほうがよい

このように医師キャリアでの20代は、制度のために様々な拘束があります。
一般企業においても似たような拘束や大変さはあると思いますが、医師の場合は制度化されている、ということが異なる点かと思います。また、専門性を高めようとするとプライベートの犠牲が伴いがちなのも医師業の特徴でしょう。

言うまでもなく、述べてきた医学生~30歳くらいまでの時期は、ちょうど恋愛や結婚のピークの時期と重なります。プライベートとの両立にみんな悩んでいます。
もし結婚を考えているなら、お互いの生活や価値観を理解し合うことが重要です。出会いを求める際には、お互いの仕事とプライベートのバランスについて事前に話し合うことが、将来の幸福につながるでしょう。 

KCP ニッチな麻酔科ライター

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KCP ニッチな麻酔科ライター

KCPはフリーのライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。感想、こんな記事書いてほしい、麻酔科の専門的なご質問、iCoi以外での仕事依頼などはTwitterのDMから。https://twitter.com/KCP58227768

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