【後編】留学先で国際結婚!?35歳独身で渡米した放射線科医にインタビュー!

もしもあなたが独身の時に海外留学を提示されたらどのような選択をしますか?今回は、35歳で単身渡米し、現地で結婚、出産されたSATOKO先生にインタビューをしました。日本での婚活の苦悩や、米国で子育てをされているエピソードは必見です!

【後編】留学先で国際結婚!?35歳独身で渡米した放射線科医にインタビュー!

目次

  1. 後編は米国でのワークライフバランスに注目
  2. 日本は夜が遅く米国は朝が早い?
  3. 女性医師ならではの婚活の問題に直面した
  4. 現在は米国の医療機器メーカーに勤務
  5. 子どもが生まれたら状況は変わる
  6. 今目の前にあることをエンジョイして過ごすことが大切
  7. ワークライフバランスは十人十色

後編は米国でのワークライフバランスに注目

前編では、SATOKO先生が研究留学で単身渡米され、現地で結婚、出産されるまでの経緯をお聞きしました。

後編では、日本と米国の働き方の違いや、SATOKO先生の現在のお仕事、さらにはワークライフバランスを維持する秘訣について伺っていきます!

【前編】留学先で国際結婚!?35歳独身で渡米した放射線科医にインタビュー!

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日本は夜が遅く米国は朝が早い?

日本と米国で医師の働き方はどのような違いがありますか?

私が日本で放射線科医をしていたときは、夜の21時過ぎまで勤務し、土日も休みがなかったりしました。

それに対して、米国の医師は帰るのがとにかく早いです!17時とか18時には仕事を終えていて、土日に働くこともほとんどありません。みなさん家族と過ごす時間を大切にしています。

どうして米国の医師は帰宅時間が早いのでしょうか?

色々あると思いますが、理由の一つに開始時間の早さが挙げられると思います。これは私が専門とする放射線科に限った話ではなく、病院全体としてこのような傾向がありました。

米国でもレジデントは日本と同じくらい働いていたりしますが、とはいえ卒後何十年の医師が激務で疲労しているようなことはありませんでした。

女性医師ならではの婚活の問題に直面した

日本と違ってご自身の時間ができたことで、退勤後はどのように過ごされていたのでしょうか?

最初は一緒に過ごす相手もいなくて…。
日本から留学に来た医師仲間と飲み会に行ったりもしましたが、皆さん家族で来られているので、よく暇していました(笑)
遠隔読影で小金を稼ぎ、ジムに行ってよく運動していました。

その後すぐに今の夫と出会うことができたのは幸運だったと思います。

日本と米国で婚活をする中で何か違いを感じた点はありますか?

これまでもお話した通り、日本にいるときは婚活に苦労しましたね(笑)

年齢を考えたら結婚したほうが良いかもしれないと思い、途中で妥協して結婚しようと思ったことはありました。

なぜ婚活が難しかったのでしょうか?

医師として働いていると、一人で決めて業務を回さなければならないことがたくさんあります。そうしていると、自分一人で全てを判断したり、あと妙に指示出しをしてみたり(笑)。

これは職業上仕方がないことだとは思いますが、こういった特性は婚活市場において男性から歓迎されにくいことに繋がっていたと思います。

ちなみに米国のほうが仕事を持って自立している女性が評価される傾向がありますね。

日本と米国では求められる女性像が異なる場合があるのですね。他にはどのような苦労をされましたか。

日本の病院では、未だにマタハラが行われている場所もあるようです。上司に専門医を取り大学院を卒業するまで妊娠しないようにと言われたという話はよく聞きます。

私の場合は、30歳くらいで一人で業務を回せるようになり、仕事が楽しくなっていました。気づいたら35歳になって妊孕性について心配するようになりました。

女性医師の結婚や出産のタイミングについてどのようにお考えですか?

これは私個人の考えですが、ストレートに行くと32歳くらいで専門医の取得などが落ち着くので、そこから妊活とかを始められると理想なのかなと思ったことはあります。

でも、タイミングは人それぞれですし、計画していてもそう簡単にはいかないものなので、難しいですね。

米国の女性医師も似たような問題を抱えているのでしょうか?

米国でも出会いが無いことを悩んでいるフェローはよく見かけます。また、不妊で悩んでいる女性医師もいます。インドに住む女性医師も同じようなことを話していて、世界ってどこも似たようなもんだなあと思いました。

現在は米国の医療機器メーカーに勤務

現在はどのような働き方をされているのでしょうか?

米国で結婚、出産したこともあり、研究留学の期間が過ぎた後も現地に残ることになりました。しかし米国の医師免許を持っていないので、病院で臨床業務を行うことはできません。

そのため、現在は医療機器メーカーで自分の専門である乳がんの3Dマンモグラフィや超音波の読影業務のようなことを行っています。

現在は臨床医とは違うお仕事をされているのですね。

AIの画像診断を作るための基盤となるデータセットを作成しているので、仕事内容としては臨床医に近いとは思います。勤務形態としては、パートタイムです。

米国の医師免許がなくても、これまでの臨床経験を活かしてできる仕事はたくさんあるんです。

臨床医としてのキャリアが止まることに対してどう思われますか?

私自身、キャリアは途絶えて当たり前だと思っています。というのも、女性の場合、どうしても出産の時期には仕事を離れなければなりません。それが落ち着いたらまた仕事に戻れば良いし、焦りを感じる必要はないと思っています。

働き方は昔に比べて多様化しているので、必ずしも医局に居続けたり、同じ場所で働き続けなければならないことはないと感じるのも、このような考えに至った一因です。

子どもが生まれたら状況は変わる

現在はどのように仕事と家庭を両立していますか?

今はパートタイムで働いているので、18時には家族と揃ってご飯を食べることができており、とても充実しています。日本時代のような働き方をしていたら、この生活を送るのは難しかったと思います。

若い頃の激務は、臨床経験を積むという意味でよかったと思いますが、結婚して子どもが出来ると状況は変わるということを実感しています。

日本の医師のワークライフバランスについてはいかがお考えですか?

日本の大学病院で時短勤務をすると、どうしても給料が安くなってしまいます。その上でシッターさんを頼み始めたりすると赤字になりうるんです。

人手不足などで仕方がない部分もあると思いますが、この現状には違和感を覚えています。

子育てをしながらの勤務形態は難しい問題なのですね。

自分が子どもを産んで、子育ては本当に大変だと実感しており、子育てをしながら専門医を取得された医師は本当に凄いと思っています。

また、男性医師が育休を取ることに対して医局が否定的なケースがあるようですが、それは時代錯誤だなとも感じています。

まずは働き方から変えなければいけないとお考えなのですね。

研究はもとより実質的な労働も「自己研鑽」とされる文化など、今の働き方には改善の余地が多いにあると考えています。

是非、若手医師の方々が率先して変えていって欲しいと願っています。

今目の前にあることをエンジョイして過ごすことが大切

最後に、読者の方へメッセージをお願いします!

結婚、妊孕性、出産、子育ては考え始めると心配になると思います。私に相談に来る医学生も、過度に心配をされている方が少なくないです。

でも将来を決めようとしても相手が必要なことだから不確実性があります。将来のことを考え過ぎて不安になるよりも、今目の前にあることをしっかりこなし、エンジョイして過ごすことが大切です!

ちなみに、私はnote発信も行っています。悩みを抱える女性医師・女子医学生の参考になる情報を発信しているので、よかったら是非覗いてみてください!
SATOKO先生のnoteはこちらから!

SATOKO先生、ありがとうございました!

ワークライフバランスは十人十色

前編・後編を通して、SATOKO先生の日本での臨床医時代から現在のワークライフバランスの保ち方まで、多岐にわたるお話をお伺いすることができました。その後の人生に関わる選択肢を提示された際に、自分の信念を持って、進む道を選ばれたSATOKO先生のバイタリティに驚きました。

また、SATOKO先生は米国で医療機器メーカーで勤務されており、培ってきた臨床医としての能力が発揮できる場所は病院に限らないこともわかりました。

iCoi Blogでは今後も様々な先生にインタビューを行い、医師のワークライフバランスに関しての情報を発信していきます!次回もお楽しみに!

さき

この記事のライター

さき

関東圏の女子医学生。 内科系、統計学や疫学に興味があります。

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