医師と出会いたい方に知ってほしい!医師の当直について

医療以外の方々に向けて、医師業の一端を紹介します 。今回は、医師の当直にフォーカス。医師生活に大きな影響を及ぼす当直は、他業種には馴染みの薄い制度です。 当直は建前上の制度と実際の運用に乖離があります。医師と交流したい方に、ぜひ実情も知ってもらえたらと思います。

医師と出会いたい方に知ってほしい!医師の当直について

目次

  1. 筆者は何者?
  2. 病院は、医師を当直させなければならない
  3. 病院は当直医に救急診療をさせるようになった
  4. 20代はハード当直のことが多い
  5. 当直明けも仕事の病院がある
  6. 医師の働き方改革は骨抜きになっている
  7. 当直は疲れる。疲れて会うことにもぜひご理解を

筆者は何者?

KCP ニッチな麻酔科医
KCP ニッチな麻酔科医
東京じゃない街の30代フリーター麻酔科医。既婚、子持ち。初期研修は田舎のハード病院、その後ハード後期研修を経て疲れない重視のフリーター麻酔科医生活中。

病院は、医師を当直させなければならない

当直は医療法という法律で定められています。医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」と書かれています。  

元々、当直は負担が少なく、簡単な業務のみを行うことを前提としていました。例えば、病棟の見回りや病棟からの電話での相談などです。「もし入院患者に何かあった場合にはすぐ駆けつけられるよう、待機医を病院に泊まらせておくが、基本的には医師は寝ている」というのが前提です。

法律に沿った正しい運用では、当直しても体への負担もそんなにないし、当直明けが休みになれば平日日中に遊びに行けるし、当直料としてお金ももらえる、と、ある意味ではそこそこ嬉しい制度なのが当直です。  

病院は当直医に救急診療をさせるようになった

ただし、救急患者を受け入れる病院では、この原則は実際には守られていないのが現実です。人々は休日や夜間でも病院を受診します。 急患の診療は本来、勤務時間内で働く医師が行うべきですが、 、病院は当直医に急患診療を任せるようになりました。そのほうが人件費が浮くためです。

当直医に、救急患者をガッツリ診療させて、疲弊するような働き方をさせるのは違法です。しかし、医師たちが当直中に急患患者を対応することが長年行われてきました。また、労働基準監督署や保健所も、地域の医療が崩壊することを避けるため、違法な労働状況を黙認してきました。。

こうして、医師の当直は、本来の待機業務とはかけ離れたハードな夜間労働として定着しています。もはや「当直」という言葉が、軽い見回り業務なのか、ハードな夜間外来業務なのかを区別しなくなりました。  

20代はハード当直のことが多い

急患診療をたくさんしているのは主に大きな病院です。大病院の当直はほぼハードな夜間業務となっています。若手医師はキャリア上、最初は大規模病院で勤務することが一般的です。したがって、恋愛や結婚の適齢期である20代から30代前半の期間は、当直=ハードな夜間業務に従事することが一般的です。  

当直明けも仕事の病院がある

建前上は、当直が終わった翌日は休みにされるべきですが、実際には次の日も通常業務を行うことが一般的です。外科医は手術を行い、外来診療を行う医師もいます。疲れた状態で手術や生命にかかわる判断を行うことは危険ですが、医師たちはそのような状況下でも業務を行っています。

医師の過労を前提とした医療体制は問題があります。そのため、厚生労働省を中心に医師の働き方改革が2024年4月から始まりました。

しかし…

医師の働き方改革は骨抜きになっている

働き方改革の資料(厚生労働省)

上の資料をぜひご覧ください。

医師の働き方改革は行政主導ではじまりましたが、制度設計の途中でどんどん骨抜きになりました。

まず、残業上限が年間960時間、月100時間となりましたが、これは一般的な過労死水準と同じです。つまり、過労死水準までは全医師に残業を許可しているという制度が施行されています。逆に言えばこれまでもっとひどかった、とも言えますが。

さらに、救急搬送数が多い大病院では年間1860時間まで残業が許可される基準も設けられました。 もはや働き方を改革する気はあるのでしょうか。

さらに病院側も、当直業務を当直ではなく休憩として取り扱うなど、法律をくぐり抜けるような法解釈で働かせている実例を耳にしています。

少なくとも私の身の回りでは、働き方改革で働き方が良くなったという声はありません。結果的に給料が減ったり、正規の休憩時間に有給を使わされたりしています。改革するとはいったものの、改善するとは言っていない、これが実情ではないでしょうか。

当直は疲れる。疲れて会うことにもぜひご理解を

このように医師の当直は、明らかに労働上の問題が存在します。しかし、医師業界では過労を前提とした慣習が定着しており、これを変えることは難しいでしょう。地域医療の維持という大義名分のもとで、役所も手をこまねいている状況です。そのため、今後も改善が難しいと思われます。  

夜間のハードな労働は、非常に疲れがたまりますし 、生活リズムを崩されるので体調が悪くなりやすいです。20代医師の多くは当直で体力を奪われており、プライベートに影響が出てしまうと思います。本当は元気な状態で会ったり遊んだりしたいのに、どうしてもできない。医師との交際はこんなこともあると思います。医師たちも本意ではない状況であり、理解していただけると幸いです。 

KCP ニッチな麻酔科ライター

この記事のライター

KCP ニッチな麻酔科ライター

フリー麻酔科医のライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。仕事依頼などはX(Twitter)のDMから。https://twitter.com/KCP58227768

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