【医師に必須!】義務教育では教えてくれない税金の超基礎知識
社会人になり所得を得たら、税金や社会保険料を払わなければなりません。しかし、これまで税金について教わることはなかったですよね。この記事は、社会人全員が知っておくべき基本的な制度の知識をみなさんと共有したいと思います。
税金は天引き(源泉徴収)で支払う
給与所得者は税を自分で直接払うことは基本的になく、雇用主が源泉徴収(給与から差し引くこと)して、雇用主が納税します。
つまり皆さんが受け取る手取り収入とは、病院が人件費として支払う額(額面収入)から税金と社会保険料、その他が引かれたものとなります。
高所得者の所得税は累進課税
所得には所得税と住民税がかかります。
所得税は所得に比例して高い税率になっていきます。累進課税のことですね。
高所得な医師の税率は…?
日本の高所得者の所得税率は高く、1800万円を超える所得に対しては40%(後述の住民税と合わせると50%)、4000万円を超えると50%(住民税と合わせると60%)の税率がかけられます。
1800万を超えて稼ぐ医師はそこそこいるのですが、いくら働いても半分が税金となると働く気が失せてしまうのも無理はありません。加えて、児童手当ももらえず保育園も入りづらくなるという現実もあります。
住民税は2年目から
住民税は前年の課税所得をもとに、翌年、地方自治体へと10%納める税金です。就職前仕事をしていないであろう大半の人は、研修医1年目には住民税の課税はありません。研修医2年目の6月から課税が始まることになります。(※住民税の年度単位は6月スタート)。2年目の4月・5月に比べて6月から手取り減るので、驚かないようにしましょう。
社会保険料は事実上の税
研修医にも関係する社会保険料
社会保険料は給与所得の程度に応じて支払う、健康・介護・年金の保険料です。保険料という名前ですが実質は税金です。研修医はほぼ100%、強制加入となります。
社会保険料は、半分を自分が、残り半分を勤務先が負担する労使折半ということになっています。
社会保険料の金額は月給ごとに自動で決められます。
勤務医は社会保険にとって貴重な存在!?
社会保険料は「個人の」「給与所得」に対してかかる税金性質のお金です。勤務医は比較的高所得と言えますが、収入が個人の給与所得のみからなるという点で、税金の面からは特徴のある人達です。一方、多くの士業や高所得者は、個人事業だったり法人にすることができます。
社会保険の保険者(健康保険組合・協会けんぽ)から見ると、たくさん稼いで多くの社会保険料を納入してくれる勤務医は貴重な収益源なのです。医師の給与だと社会保険等級の上限に達することもあるのですが、ここ数年は最高等級を新設する(50等級までだったのに51等級を新設する)なんて動きもあります。
年末調整と、確定申告
あなたの職場は何ヵ所?
年末調整は、給与所得者が所得税申告(確定申告)を簡単に済ませるための仕組みです。毎年年末になると、職場から年末調整用の用紙を書くように指示されます。これに各種控除の情報を書くと、職場が確定申告と同効力の税金の調整してくれ、所得税の手続きが完結します。
一方、2ヶ所以上の勤務先が年内にあった場合は、年末調整をしても確定申告をしなければなりません。年末調整は一人当たり1ヶ所の事業所でしかできないので、他事業所と合わせた税金の情報が統合できず税金がずれるからです。
地域医療実習には注意!
研修医の先生が関係するのは主に地域医療実習です。多くの研修病院ではおそらく地域医療中の給与は出向先から支払われると思いますので、給与支払い元が2箇所になるので確定申告が必要となります。
マイナンバーカードは必須
確定申告自体はマイナンバーカードさえあればあっという間に終わります。税理士に代行してもらうという手もあるのですが、地域医療実習+ふるさと納税くらいの確定申告で税理士に頼むのは勿体ないので、自力でできるようにしましょう。
マイナンバーカードは必須です。マイナンバーカードの有無で、確定申告の手間が全然違います。マイナンバーカードがないと、台紙に各種紙を手動で全部のり付けして封筒に入れて…みたいな非常に煩雑な作業が待ち受けます(たぶん)。
未取得の方は引っ越しが終わったら申告しておきましょう。
地域医療実習に出た歳は確定申告をして、もらえる還付金はしっかり取り戻しましょう!
給与所得者の節税は限られる
給与所得は経費化ができないので、節税法は限られています。
給与所得から税を減らすには、課税所得を減らす「控除」を使うしかありません。そもそも控除は経費化ができない代わりに設けられている制度です。
控除は色々あるのですが、基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除など自動的に発生するものと、災害・雑損・ひとり親控除のようにハードライフに伴う控除を除いて、本人の選択による自由な節税の選択肢となるのは以下の8つだけです。
- 寄附金控除(ふるさと納税)
- 小規模企業共済(iDeCo)
- 社会保険料の学生猶予分の支払い
- 医療費控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 住宅ローン控除
- サラリーマンの特定支出控除(※ほぼ使えない)
上限もだいたいあるので、控除使うときは調べましょう。
医師をやっていると怪しい業者から「節税が~」という電話がかかってきます。
別に電話を契機に誰が何を買おうか私はいいと思うのですが、まず節税方法は限られる、という正しい知識を持っておき、怪しい電話に騙されないようにしましょう。
ファイナンシャルプランナーの教科書を買おう
お金の知識は人生を考える上で必須の知識なのですが、日本はお金の教育を受ける機会がほとんどありません。もしゼロから勉強をしたいのであれば、まずファイナンシャルプランナー検定の教科書を買うことをおすすめします。(3級の本でOK)
資格受験本なので中立なのと、素人向けの基礎情報がまんべんなく載っています。流通量が多いので中古で安く買えるのもいいですね。受験はしたい人だけすればいいと思います。
この記事のライター
KCP ニッチな麻酔科ライター
フリー麻酔科医のライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。仕事依頼などはX(Twitter)のDMから。https://twitter.com/KCP58227768
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