【廃業も多数!?】フリーランス医師の辛さ事情
バイトで生計を立てる、いわゆる「フリーランス医師」。フリーランスが多いとされる麻酔科でも、バイト専業は少なく、常勤先を持ちながらバイトをする人が大半です。この記事では、私自身の経験に基づいて、フリーランス医師として働くことの辛さについてお伝えしようと思います。
筆者は何者?
フリーランスの税制上のメリットはない
バイトであっても、勤務医の収入は、医療行為に対する手当を給与所得としてもらうことしかできません。個人事業主、法人のいずれに関しても事業所得にはできないので、出費を経費化することができません。したがって、フリーランスの税制上のメリットはありません。
社会保険料は雇用状態によって国保になる場合があり、社保より割安になる可能性があります。しかし年金は減りますし、社会保険料の違いで労働形態を変えるほどの差はでません。
長時間通勤がつらい
フリーランスが続かない最大の理由はおそらくこれですね。何と言っても長距離通勤がきついです。基本的にバイトは田舎や都市郊外に多いので、どうしても通勤時間が長くなります。
一般に通勤限界は60~90分と言われますが、長いほど起床時間も早くなることも体力喪失になります。
実際、私もかつて片道90分の通勤をしたことがありますが、体力がもたないことを実感し、長時間通勤の仕事は避けるようになりました。
施設への適応が必須
バイトは基本的に、施設のやり方に合わせて働くことになります。しかし、機材や薬剤、業務フローなどが自分の思考と合わなかったり、古くて改善されていなかったりすることがあります。
バイトが施設のやり方変えることは普通できないので、自分自身を状況に合わせてフィットさせていかなければなりません。全く合理的でないやり方を強要されたり、不条理に遭遇したりすることもあります。実力も問われます。ゲームでいうところの制限プレイをやる感じです。
特に小規模施設での仕事は、物品も人材も制限があるため、強めの制限プレイを課された状況で働くことになります。分業の進んだ大病院でしか働いた経験のない人は、知らず知らずに「大企業病」に罹ってしまうことがありますが、小さい病院ではそうはいかないです。
バイト先であれこれがない、これができないと怒りをぶつける人も多いですが、これは大企業病のストレスの表れだと思われます。
やりがいを感じにくい
バイト医師は、「流動性があって、替えが効く商品」と見られる一面があります。
金融やマーケティングの世界ではこれを「コモディティ」と呼びます。少なくとも出勤を重ねて個人としての信頼を勝ち取るまでは、あくまでバイトは替えの効く商品です。
「ダメなら次がいる」という扱いで、余計なことはしないで言われたことだけをこなす立場になります。やりがいがある仕事が自動的に振られる可能性は低いですし、施設のスタッフや研修医を教育したり、業務改善に携わることもまずありません。
面倒くさい教育から解放されるという捉え方もできますが、より良い仕事をすることや後進を育成することは、職業人として必要な刺激だと思います。
やりがいが得られにくい仕事はつまらないと考える人もおり、たとえ給料が良くても続かない人が相当の割合でいるようです。やりがいはお給料の一部だと考えることもできますね。
積極的なフリーランス化は勧めない
このように、フリーランスが感じているマイナス面は多いです。もちろん、常勤や医局所属で働く場合にもマイナスの面があることは承知していますが、フリーランスになったからといって必ずしも幸せになれるとは限りません。
また、専門医などの資格面でのマイナスがある科も存在するでしょう。各種資格は基本的に常勤勤務を前提とした設計になっており、資格にこだわる場合はそもそもフリーランスが向いていないかもしれません。
資格がなくても生きていけるバイトの流通状況と、資格へのこだわりを捨てられる決断力が必要と言えそうです。
この記事のライター
KCP ニッチな麻酔科ライター
フリー麻酔科医のライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。仕事依頼などはX(Twitter)のDMから。https://twitter.com/KCP58227768
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