院内保育ってどんな制度?子育て世代の働く医師には欠かせない仕組みに迫る
医師のワーク・ライフ・バランスを実現するにあたって欠かせないのが育児との両立。一般的に臨床の仕事と子育ては両立が難しいとされていますが、院内保育を活用すれば、その負担が少しでも削減できるかもしれません。今回はその仕組みとメリットについて迫っていきます!
院内保育は病院職員向けに特化した保育所
院内保育とは「病院職員の子女のために設置された保育所、ないしそれに類似した施設」のことをいいます。つまり、子供を持つ病院職員向けに特化した保育所です。
院内保育には病院が独自に開設したものから、保育サービスを営む外部企業により運営されているものまで幅広く存在します。仕事と育児を両立したい医師に注目を集めている仕組みとなっています。
およそ半数の施設が導入済み
院内保育は、もともと子供をもつ女性看護師のために設立した病院が多かったとされています。しかし、近年の子育て医師割合の増加や「子ども・子育て支援新制度」の設置などに伴い、新たに院内保育を導入する病院が増加しています。
2020年に日本国内の全8238の医療施設を対象とした調査[1]によれば、半数近くの医療施設において院内保育を実施していることが分かりました。また、そのうち半分以上が夜間保育も実施しているようです。
院内保育実施の有無について | 施設数 | 割合 |
---|---|---|
院内保育を実施している | 3635施設 | 44.1% |
夜間保育あり | 1897施設 | 52.2% |
病児保育あり | 856施設 | 23.5% |
また、別の厚生労働省の資料[2]によれば、病床数が600床以上の大病院はおよそ9割が院内保育を実施しています。150床以下の中小規模の病院でも5割程度が院内保育を実施しており、今後も増えていくことが予想されています。
院内保育は子育て医師の強い味方
院内保育は病院内に設置されているという特性上、一般的な保育所と異なる特色がいくつかあります。
夜間保育が充実
院内保育が一般の保育所と最も異なる点として、営業時間の長さが挙げられます。先ほどの統計でも挙げたように、院内保育を実施している施設のおよそ半数が夜間保育を実施しています。
日本の院内保育で最も古い歴史を持つ北海道の函館五稜郭病院では、夜勤のある職員のための24時間営業体制や幼稚園終了後に病院までのバス送迎なども行われているようです。
フレキシブルな時間設定
通常の保育園では、利用者によらず登園・降園時間が一定に定められていることが一般的です。このことが不規則勤務の多い病院職員にとって利用の障壁となっていることも少なくないようです。
しかし、院内保育であれば、利用者に応じてフレキシブルに登園・降園時間を設定できる施設も珍しくありません。日によって勤務時間帯が変動する医師が安心して利用できる仕組みといえるでしょう。
小児科医師や救急外来との連携
院内保育を実施している施設の中には、その施設の小児科医師や救急外来との連携が図られている施設も存在します。
子どもの急変時に迅速に対応してもらうことができるのも、一般的な保育所より優れた点であるといえるでしょう。
院内保育を活用して仕事と育児の両立を
院内保育は徐々にその割合を増やしており、子育て世代の医師の強い味方となっています。
「子どもを産んだらフルタイムで勤務することができないかもしれない」
そうご心配の方も、働く場所によっては院内保育を上手に活用することでキャリアと子育ての両立ができる余地があるかもしれません。
今後iCoiは、院内保育に力を入れている病院や院内保育を利用されている方へインタビューを行い、生の声を皆様にお届けしていきたいと考えております。インタビューにご協力いただける方がいらっしゃいましたら、是非以下のフォームからお問い合わせいただけましたら幸いです。よろしくお願いします!
参考
- 厚生労働省. R2年医療施設調査. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/20/dl/02sisetu02.pdf
- 厚生労働省. H29年医療施設(静態・動態)調査. https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000529084.pdf
この記事のライター
Asako
iCoiの女性ライター。医学生として学業に励む傍ら、小説家・ライターとしても活動しています。
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