家事・育児代行って結局どうなの?実際に利用した医師が長所・短所を語る!

医師が育児をしながら就業するためには、幼稚園をはじめとする育児・家事サービスを使うのも一つの選択肢です。しかし、実際利用してもうまくいかなかったり、想定より働けないという声がよく聞かれます。本記事は、実際に筆者が各種サービスを利用してみた感想をお伝えします。

家事・育児代行って結局どうなの?実際に利用した医師が長所・短所を語る!

目次

  1. 筆者は何者?
  2. 保育園/幼稚園で働く保育士は育児のプロ
  3. ただし待機児童や送迎などの問題なども
  4. 一方で病児保育は多少使いづらさが...
  5. 家事代行は当たり外れが大きい
  6. 習い事は年齢の離れたお友達との交流機会
  7. 結局は太い実家しか勝たん

筆者は何者?

KCP ニッチな麻酔科医
KCP ニッチな麻酔科医
東京じゃない中核都市(○berEatsもそこそこ使える)の30代男性麻酔科医。妻は医師ではない。子供2人。自炊歴長く家事一通りできる。筆者は、金で時間が買えるならどんどんサービスを利用すればよい、というスタンスの人間です。

保育園/幼稚園で働く保育士は育児のプロ

我が家では1歳くらいから保育園を利用しましたが、とても良かったと思っています。近い年代のお友達に毎日あって遊ぶのがとても刺激になるようで、入園したとたんにできることが増えたり、言葉が増えたりしました。

保育士さんはさすが育児のプロです。育児の素人である親とは違う視点で、プロとして育児をしてくれますし、毎日遊びを提供してくれます。子どもにとって遊びは食事や睡眠と同レベルに生理的に必要なものなのでしょうが、親だけで遊びを提供し続けるのは現実的には困難です。プロの手を借りるというのは合理的だと思います。

かつて「3歳児神話」と呼ばれたように、長く家庭で見るほうがよいという考え方もあるとは思います。しかし、私の実体験的には、早く入園させるのは子供の為になるという感想です。もちろん親の時間も確保できるのでメンタル的な余裕も生まれます。たとえ自宅保育が可能であっても、可能なら入園をおすすめしたいと思います。

ただし待機児童や送迎などの問題なども

まず入園に際しては、待機児童の問題があります。私の居住地は、行政的に待機児童ゼロなのですが、実態は待機しまくりです。また認可保育園は収入と就業状況(共働き家庭が優先)で入園優先順が決まるので、高収入の部類に入る医師家庭は優先順位が下がります。保育料も高くなり、認可外より認可のほうが高くなるという逆転現象に遭遇しました。

次に送り迎えの問題。園の預かり時間が8:00~17:00だとしたら、我々の就業時間は当然それより短くなります。残業もできません。だから残業の可能性のある業務を受けられないなどの仕事の制限も発生します。保育園もギリギリの人数で運営しているところが多いのでお金を払えば延長してくれる、という問題でもないのです。また、年末年始など園の都合で預かれない日程も発生します。

就業時間は予想以上に制限を受けるものと考えていいです。

KCP麻酔科ライター
KCP麻酔科ライター
余談ですが、保育士さんから聞いたところによると、園長というのは実は保育キャリアと関係なく就く人が結構いるそうです。利益重視の経営者思想だったり、変な思想の持ち主だったり、パワハラもよくあるそうです。地域差もあるかもしれませんが、とにかく情報収集は大事そうです。

一方で病児保育は多少使いづらさが...

病児保育については、新型コロナウイルス出現前の経験しかないため、現在役に立たない情報かもしれません。そのことをご了承のうえでお読みいただければと思います。

病児保育は数回利用しましたが、個人的にはあまり良い印象がありませんでした。まず筆者の居住地域では利用枠が取れませんでした。運良く利用枠が取れたとしても、病児保育の前には開業医の受診が必要なため、時間を取られてしまいます。加えて、子どもの具合が悪いと迎えにいかなければならないこともありました。結局、就労時間の確保の効果はほとんどないといった印象が残ってしまいました。

病児保育は開業医が経営していることが多いようですが、(医者からみて)必ずしも自分が信用できる医師に当たらない可能性もあります。私の実例ですが、どっからどーみてもウイルス性の感冒なのに抗生剤を出されたりしました。病児保育を使うには拒否するわけにいかないですよね。

ということで長子のときは数回利用しましたが、次子のときは利用していません。

KCP
KCP
参考情報:統計では、1歳だと平均年5~6回程度発熱するそうです。年齢を重ねると発熱回数は減っていくとのこと。利用されるのでしたら、良い病児保育に巡り合えたらいいですね。

家事代行は当たり外れが大きい

家事代行を利用した一番の感想は、人を雇うって難しいということです。

まず、家事代行を使う手間(鍵の受け渡しとか、やってほしいことの伝達、支払い)が結構手間に感じます。また地域差はあると思いますが、雇用できる人の大半が中高年女性であり、スマホが使えなかったり、衛生観念など世代間の認識のズレに困惑することも少なくありません。

そもそも家事の大半は、小さい作業が一日を通して断続的にやってくるのが大変なのです。特に育児中は。

家事代行は1日数時間まとめて作業をしてくれますが、家事代行がカバーできる範囲と、負担に感じている家事様態にはズレがありました。筆者家庭は夫婦ともに家事ができるので、「手間かけて代行頼むより自分でやったほうがもう早いじゃん、料金高いし」となってしまい、利用は続きませんでした。時短家電に金をかけたほうが良かったですし、食事は宅配サービス、冷凍弁当などを使ったほうが使い勝手がよかったです。

なお、ベビーシッターは家事代行の失敗がありそもそも検討しませんでしたが、おそらく構造的に同じようなものと思います。「シッター+家事代行」でまとめてサービス提供してる会社も多いです。子どもが懐くかどうかもあるので相性問題もあるでしょう。

人を雇うというのはとにかく難しく、一部負担だけでもいいので祖父母の参入が最も望ましいと思います。これはこれで面倒なこともあるのでしょうが。

習い事は年齢の離れたお友達との交流機会

習い事は子どもがやりたいことをやらせていますが、子どもの預け先として見ても優秀です。幼稚園や保育園だけだと、小学生以上のお友達と遊ぶ機会というのは貴重なのですが、習い事に行くとその機会があって良いようです。

また、子どもの体力を消耗させてくれるので夜早く寝てくれるので、夜の寝かしつけも楽になりました。

ただし送り迎えが大変です。規模の大きいところでは送迎バスがあるところもありますが、そのようなサービスがあるととてもありがたいです。

結局は太い実家しか勝たん

私の経験は世の中のサービスのごく一部なのでしょうが、なかなかうまくいかないことも多かったです。

送り迎えや時間拘束など「サービスを利用するための手間」が想像以上に重いです。例えば行政が各種サービスに補助金を出したところで、それだけでは子どもを各種サービスに任せて仕事邁進、とは現実的にならないでしょう。やはり各種サービスを利用する前提でも、大人の人数が重要です。

結論としては太い実家が最強です。育児や家事ができる大人の人数は絶対正義なのです。

KCP ニッチな麻酔科ライター

この記事のライター

KCP ニッチな麻酔科ライター

KCPはフリーのライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。感想、こんな記事書いてほしい、麻酔科の専門的なご質問、iCoi以外での仕事依頼などはTwitterのDMから。https://twitter.com/KCP58227768

この記事へコメントしてみる

※コメントは承認後に公開されます
コメント投稿ありがとうございます。
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。

関連記事

小1の壁とは:医師にも身近な社会問題

育児・家事

小1の壁とは:医師にも身近な社会問題

現代社会では、子供の預け先に関する問題が増えています。特に小学生になると預かり時間が減る「小1の壁」が生じています。これにより、子供を持つ医師も働き方を変えざるを得ないケースがあります。この記事では、学童保育の課題とその解決策を調査しました!

院内保育は認可外保育施設!そのメリットとデメリットとは?

育児・家事

院内保育は認可外保育施設!そのメリットとデメリットとは?

子育て中の医師にとってはありがたい存在の院内保育。実は、院内保育は認可外保育施設なのです。院内保育が認可外保育施設であることには、利便性や柔軟な運営がメリットとして挙げられます。この記事では、その運営形態がもたらす独特の環境とサポートについて掘り下げます。

全国の院内保育大調査!①~北海道編~

育児・家事

全国の院内保育大調査!①~北海道編~

仕事と育児の両立に欠かせない「院内保育」。職場の近くで子供の面倒を見てくれる環境があれば、仕事にも好ましい影響がありますよね。今回は地域別に「院内保育」の実際についてリサーチしていく連載の第一弾! 北海道の院内保育を調べてみました。

育児をしたいなら医局には入るべき?医局のメリット・デメリットに迫る

育児・家事

育児をしたいなら医局には入るべき?医局のメリット・デメリットに迫る

医局に入るかどうか。正直診療科によるところが大きいと思います、とはいえどの診療科でも、現代は入局が絶対という時代でもなくなりました。入局するかどうかは医師の権利です。この記事では、育児を考える人にとっての医局のメリット、デメリットを考察します。

院内保育ってどんな制度?子育て世代の働く医師には欠かせない仕組みに迫る

育児・家事

院内保育ってどんな制度?子育て世代の働く医師には欠かせない仕組みに迫る

医師のワーク・ライフ・バランスを実現するにあたって欠かせないのが育児との両立。一般的に臨床の仕事と子育ては両立が難しいとされていますが、院内保育を活用すれば、その負担が少しでも削減できるかもしれません。今回はその仕組みとメリットについて迫っていきます!

男性医師に足りないのはまず、育児意欲と家事能力。育休が取れる組織は成長する

育児・家事

男性医師に足りないのはまず、育児意欲と家事能力。育休が取れる組織は成長する

男性育休は制度としては成熟してきましたが、まだ盛り上がっていません。筆者はその原因の一つに、男性の育児参加の意欲と家事能力の問題があると考えています。仕事の問題はその次。育児に手厚い組織には人が集まる傾向となっており、育休をとることはむしろ組織への貢献になります。

関連するキーワード

育児・家事の人気記事

人気ランキング

話題のキーワード