育児をしたいなら医局には入るべき?医局のメリット・デメリットに迫る

医局に入るかどうか。正直診療科によるところが大きいと思います、とはいえどの診療科でも、現代は入局が絶対という時代でもなくなりました。入局するかどうかは医師の権利です。この記事では、育児を考える人にとっての医局のメリット、デメリットを考察します。

育児をしたいなら医局には入るべき?医局のメリット・デメリットに迫る

目次

  1. 筆者は何者?
  2. 医局のメリット1:仕事が保証される
  3. 医局のメリット2:診療水準が担保される
  4. 医局のデメリットその1:異動が多い、長距離通勤になりがち
  5. 医局のデメリットその2:労働力の搾取や時代遅れハラスメントがありうる
  6. 客観的かつ後悔のない選択を

筆者は何者?

KCP ニッチな麻酔科医
KCP ニッチな麻酔科医
30代フリーター男性麻酔科医。既婚、二人の子持ち。週半分は働き、残りは育児と家事をする。医局関連病院から、30歳でフリーター化。麻酔科は比較的医局のシバリ具合が緩めなので、麻酔科が医局を語っていいものか悩むのですが、職場の外科系医師の話もよく聞こえてくるのでそれを統合してお話します。

医局のメリット1:仕事が保証される

出産や育児で休業すると、その後病院をクビになったりしないかな?とか、ブランクがあってまた就職先見つかるかな?と不安になることでしょう。しかし、医局にいれば職を失うことはまずありません。医局人事で必ず職場が見つかります。

どんな仕事でもよいのであれば、医局に入らずとも仕事自体は見つかりますが、やはり働きやすさはワークライフバランスにおいて重要です。医局が長年管理してきた「クオリティの担保された職場」という価値の高いものが得られます。

医局のメリット2:診療水準が担保される

医局は教育組織ですから、トレーニングの機会が担保されます。診療の質は平準化されて、誰がどの関連病院に行ってもOKなように鍛えられるのです。

これは若いときの話だけではありません。年齢を重ねても上から下まで教育される機会がありますし、勉強会などで知識のUpdateも自動で行われます。もし出産育児でのトレーニングストップが必要でも、プログラムに織り込まれているでしょうから、気にすることなくトレーニングを後回しにできるでしょう。

年齢を重ねても教育の機会があるというのは相当重要な上、かなり貴重です。自分の専門領域すら、新しい知識を体得し続けるのは至難の業です。なんだかんだ日本は年功序列なのもあり、年齢があがると教育をしてもらえる機会はどんどん減っていきます。いくら本を読んだり勉強会に行っても、実際現場で実行する機会ないと意味がないのです。

私の肌感覚ですが、トレーニング期で覚えた知識で戦えるのは10年(主戦力として5年、許容範囲の人として5年)と感じています。そこから先、古い慣習を振りかざすばかりのマイナスの人材にならないためには、やはり継続的な学び直しが必要です。この点、医局の自動Updateシステムは超偉大だと思います。

筆者
筆者
私のようにフリーターをやっていると強く感じるのですが、医師の診療水準はかなりピンキリです。稀に謎の独自理論をご披露される方もいて、しばしば悪評を耳にします。しかし医局の人はそういうことはありません。医局の人の均質なクオリティの仕事は評判も一般に良好で、信頼されています。

おまけ:広い家に住める、引越代が出る

都市部はどうかわかりませんが、田舎の医局派遣先は広い家が用意されていることが多いです。引越代も出してくれる場合もあります。医師確保が大変な地方では、医局の派遣が切れると病院は困るのです。

医局のデメリットその1:異動が多い、長距離通勤になりがち

医局に入ると医局人事で勤務先が変わるので、好きなときに好きなところで働くことは難しいでしょう。数年単位で異動があり、引っ越しや単身赴任、長距離通勤の問題がついて回ります。家族を連れての引っ越しは大変です。幼稚園保育園習い事などのことも考えないといけません。

とはいえ、通勤限界(一般に片道60~90分)を超えて何年も働くと体を壊すでしょう。じゃ単身赴任する?と言われると悩ましいですね。夫婦共同で育児をするとなれば単身赴任は選択しづらいでしょう。

一般企業でもそうですが転勤は忌避される時代となりました(というか労働者が忌避を表明していい時代に、ようやくなってきました)。この点で医局は時代と逆行する要素と言えます。

医局のデメリットその2:労働力の搾取や時代遅れハラスメントがありうる

一部の医局では、常識的なしわ寄せの程度を超えた労働力搾取ハラスメント、育児に関してはマタハラがあるようです。○年目まで出産禁止、みたいな噂も聞いたことがありますし、過酷な労働状況の施設で丁稚奉公をさせられる、といったこともあるようです。

医局は人材の出入りはかなり閉鎖的なことと、上層部の偉い人へのNegative feedbackがかかりにくい特性があります。また、事実上医局にいないと専門医が取れない診療科では、特に医局の既得権益性が高く、改善されにくい土壌が醸成されているものと考えます。

客観的かつ後悔のない選択を

医局(とそれに紐づいている専門医制度)は伝統的な仕組みです。専門医制度設計には、大学医局の思惑や政治家の介入、偉い人達(多くは子育てをちゃんとやってこなかった男性)の古い固定観念などが入ってきます。一方。この5~10年で若手の労働感覚は大きく変わりました。そもそも新卒医師の男女比も大きく変わったわけです。

現在は、医局が時代の変化についてこれず、ミスマッチが大きい時代だと思われます。こんな時代でも先生方は医局に入る入らないを選択しなくてはなりません。是非、古い固定観念に縛られず、客観的に自分にとって医局が必要なのかを判断して、後悔のないように決断してほしいと思っています。

KCP ニッチな麻酔科ライター

この記事のライター

KCP ニッチな麻酔科ライター

フリー麻酔科医のライターです。ニッチな麻酔の記事を書いたりしていますhttp://note.com/kcp。仕事依頼などはX(Twitter)のDMから。https://twitter.com/KCP58227768

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