ICU含む急性期病棟を経験した看護師が見た世界。理想と現実をありのままに語ります

新卒看護師として配属されたICUでの毎日。大学4年間で学んだ知識、技術と共に実践の世界へ。そこで直面した毎日の苦悩と発見。学生時代に想像していたICU看護師とはかけ離れた世界を感じた私が退職して4年後の今、若手看護師の皆さんに伝えたいこと。

ICU含む急性期病棟を経験した看護師が見た世界。理想と現実をありのままに語ります

目次

  1. 学生時代からの夢であったICUナースの道へ
  2. 辞めていく同期を見ながら、現実と向き合う毎日
  3. お局様の制裁って業務に必要なの?
  4. 環境が変わることを待つより、自分で環境を変えるしかない
  5. 共に苦労した同期は一生の仲間になる
  6. 抱いた理想が打ち砕かれても、明るい現実はどこかに必ずある

学生時代からの夢であったICUナースの道へ

私は大学時代から、ICU(集中治療室)で看護師として働くことへの憧れがあった。ドラマなどを通じて、かっこいいというイメージが強かったからだ。とはいえ、学生時代の病院実習では急性期病棟での実習はあったものの、ICUでの実習はなかったため、何となく自分の頭の中でこんな感じなんだろうなと思い描くだけでしかなかった。

希望していた都内の病院への就職が決まった頃には、急性期病院の看護師として働くことへの強い希望に満ちあふれていた。入職時に配属先の発表があった。私を含めた7名の名前がICU配属として呼ばれた。私はICUを第一希望の配属先として希望を出していたため、単純に嬉しかったのを覚えている。

私を含めた4人が新卒での配属、他3人は既卒入社での配属となった。同時にこの日からこの7人の同期での戦いが始まった。

辞めていく同期を見ながら、現実と向き合う毎日

しかし、期待とは裏腹に、入職してからストレスフルな毎日が続いた。もちろんのことだが、重症患者の看護をするため、大学で学んだこと以上の知識が求められた。毎日の勤務以外に課題が大量に出され、休日もその課題を終わらせるので精一杯であった。課題を自分のプリセプター0、チームリーダーへ提出し、添削されたものが返却され、さらにそこからまた修正ということが何度も続いた。

同期が手書きで課題をこなす中、私はwordで課題をこなしていたため、提出がみんなよりも早かったこともあり、他の先輩から「絶対コピペしてるよね?」と言われたこともあり、悔しい思いもしたことを覚えている。

自分のミスが患者の死に直接繋がるというとてもストレスフルな環境での勤務、先輩からの圧、疲れの取れない日々で最初の半年は過酷であった。

そして何と、最初の半年〜1年で同期3人が退職することとなった。毎日の苦痛に耐えきれず、心身ともに病み、こんな環境に身を置けないと言って去っていった。私は、新卒で入職したこともあり、どうにか続けようと必死であった。

お局様の制裁って業務に必要なの?

その後も後輩が入職しては、毎年新卒が何人も辞めていくという事態が続いた。私は、この状況に嫌気がさした。お局様看護師による、なんとも愛のない説教。

後輩の成長のためにしているというよりもだた、本当に嫌がっているのが伝わる。そんな教育の仕方が充満していた。せっかく3〜4年という時間とお金をかけて得た看護資格をその悪魔のような先輩たちの身勝手な行動により辞めてしまう後輩たちを見て残念でしかなかった。

心が弱って、トラウマになり、その後、看護師の道から離れてしまう人もたくさん見てきた。どうして、愛のある教育ができないの?いじめないと、気が済まないの?

環境が変わることを待つより、自分で環境を変えるしかない

このような状況を見てきた私が言いたいことは、自分の身の置く環境が辛かったらそこで必死に頑張る必要はなく、離れる勇気を持つということ

でも看護師の道を諦めないでほしい。自分の代わりはいくらでもいる。自分が辞めることでチームに迷惑をかけるんじゃないかという無駄な思いは持つ必要はない。

心病んでまで、するべきことがあるのだろうか。そして、もっといい環境、自分に合う環境は山のようにある。色々経験して自分のあうフィールドを選ぶことも大切だと思う。医療職として人のために働くこと以上にやりがいのある仕事はないと個人的に思っている。どうか諦めないでほしい。

共に苦労した同期は一生の仲間になる

あとは、同期は一生物の仲間になるということも伝えたい。あの地獄のような日々を共に過ごし、共に笑い、時には泣き、その絆はとてつもなく強いものとなる。

私も新卒で入職したのが7年前となり、今ではほぼ全員が職場を辞め、別々の道を歩んでいるが、いまだに定期的に会って当時の話で盛り上がる。当時はとてつもなく辛かった出来事も今では笑い話となっている。どんな同期であろうと、大切にしてほしい。

抱いた理想が打ち砕かれても、明るい現実はどこかに必ずある

ここまで沢山ネガティブなことも言ってきたが、これがどこの病院、病棟にも少なからず、共通する現実であると思う。今は海外で看護師として働いていて、この異様な上下関係、労働環境は日本の医療業界ならではの特徴であると感じていて、きっと変わらないといけないことでもある。

しかし、この看護の仕事はとてもやりがいのある仕事であると同時に感じている。自分に合う働きかたは必ず見つけることができると思う。理想を抱いて入職し、現実に絶望しても、明るい道は必ずある。どうにか諦めず、それを探し続けてほしい。

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Haru

この記事のライター

Haru

東京で生まれ育ち、大学卒業後、都内病院でICU看護師として働く。3年目で退職し、オーストラリア、シドニーに語学留学へ。その後2021年にイギリスへ渡英し、2023年英国看護師免許を取得。現在ロンドン国営病院の胸部外科病棟に勤務。趣味は、旅行、アウトドア全般、スポーツ観戦、映画鑑賞、読書。 https://note.com/haluuuuu64/ イギリスの看護師事情についてのブログや英国看護師を目指す方へ相談を中心としたサポートをしています。

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