小1の壁とは:医師にも身近な社会問題
現代社会では、子供の預け先に関する問題が増えています。特に小学生になると預かり時間が減る「小1の壁」が生じています。これにより、子供を持つ医師も働き方を変えざるを得ないケースがあります。この記事では、学童保育の課題とその解決策を調査しました!
子供の預かり時間の短縮によって起きる、「小1の壁」問題
学童保育の抱える課題
小学生になった子供を下校時間以降も預けたい場合、その預かり先は学童保育施設になります。しかし、公的な学童保育施設は18時頃には終了してしまうこともあるため、保護者がそれまでに帰宅できないと、子供を自宅に一人で残すことになります。このような状況は「鍵っ子」とも呼ばれ、子供の安全面や社会性の発達にも悪影響を与える可能性があります。
遅くまで開いている学童保育施設も増えて来たものの、4割以上は18時前に終了する
公的な学童保育だけでは不十分
小学生になれば全ての子供が一人で留守番できるようになるわけではありません。よって、公的に運営されている学童保育ではなく、遅い時間にも対応できる民間の学童保育といった他の選択肢を検討する保護者も多くいます。しかし、遅い時間までの預かりや、夕食を提供するといったサービスに対応している施設は民間であっても限られており、利用できない家庭も少なくありません。
その結果、状況に対応するために、保護者が今までの働き方を変える必要がある場合があります。 この状況は「小1の壁」と呼ばれ、医師を含む共働き家庭や一人親家庭にとっても大きな課題となっています。
院内学童保育の充実も解決策の一つ
夜間預かりも含めた学童保育を整備する病院も
この問題に対し、医療界ができる解決策のひとつとして、院内学童保育施設の整備が挙げられます。事実、最近では、病院併設の学童保育施設を設置する病院が増えてきています。
これにより、医師や看護師などの病院職員が、勤務時間中に子供を預けることができるため、働きやすさが向上すると共に、子供達の安全も確保できるようになります。
社会全体での取り組みが必須
また、自治体によっては学童保育所の開放時間を延長する取り組みを行っているところもあります。保護者が安心して働ける環境を整備するためには、行政はもちろんのこと、社会全体で取り組む必要があると言えるでしょう。
問題そのものの認知度を向上させよう
保育所の整備は待機児童問題などの顕在化により進んできたという印象がありますが、それに比べると学童保育所に関する問題はまだまだ認知度すら低いと感じます。
「#保育園落ちた日本死ね」が話題になって久しいですが、保育園を必要とする子供の人数と、学童保育を必要とする子供の人数に大きな開きはないのではないでしょうか。院内保育の整備と同時に、院内学童保育施設の整備についても議論が進んでいくことを期待したいですね。
参考
- 厚生労働省.「放課後児童クラブについて」https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000957218.pdf
- 鳥取大学医学部付属病院.「院内保育施設における学童保育の開始について」https://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/news/18808.html
- 内閣府.「小1の壁の打破」https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28pdfhonpen/pdf/s3-1-3.pdf
この記事のライター
Yuriko
iCoi女性ライター。医学生として医学を学びつつ、医師、特に女性医師のキャリアについての記事を執筆していきたいです。
この記事へコメントしてみる
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。