看護師国家資格まであと少し!国家試験の内容って臨床現場で役立つの?

国家試験まで残り3ヶ月程。勉強も本格的になってくる時期。よく言われているのは、「国家試験の内容は臨床現場で使えないのではないか?」という話。私もかつてはそう思っていたが、働き始めてその意識は大きく変わった。今回は、私の臨床経験をもとに国家試験の内容は本当に就職してからも役に立つかについて話していきたい。

看護師国家資格まであと少し!国家試験の内容って臨床現場で役立つの?

目次

  1. 「看護師は一生勉強」と言われる理由
  2. ICUは特に学ぶことが多かった
  3. 私なりの勉強法(臨床)
  4. 一つの分野を深く学ぶだけでも難しい
  5. 結局は国家試験勉強も大切

「看護師は一生勉強」と言われる理由

学生時代から、「看護師は一生勉強」と言われ続けてきた。医学・医療は毎年進歩していき、その進歩が止まることはない。私たちは看護師である以上(もちろん全医療系職種に言えるが)、毎日のように新しいことを学び、変化する医療についていく必要がある。

とはいえ、学生時代は国家試験の勉強をし、試験に受かれば臨床の大抵のことは理解できるのだろうと思っていた。しかし、臨床に出てみて感じたことは、全くもってそんな簡単な話ではないということだ。臨床に出た医療者であれば全員がそう思っているだろう。

国家試験は基本となるものであり、実際は働き始めてからの方が学ぶことは多いのではないか。看護師として働き、進歩し続ける医学に関わってみて、一生学び続ける必要があるとことがわかるようになった。

Haru
Haru
学生時代は、説教じみた言葉に聞こえていましたが、看護師になってその言葉の意味を強く実感するようになりました。

ICUは特に学ぶことが多かった

私はICU勤務であったため、毎日の業務の中で受け持つ患者は基本1,2 人の患者という体制であった。日々、患者を安全に看護する医療者として、患者の疾患の全体像を理解する必要があった。

しかし、看護師国家試験勉強の中では、それぞれの細かい病態や、それらが絡み合い複雑化しているところまでは勉強してこなかった。国家試験はあくまでも基本となる疾患、看護のことが理解できていれば受かることができたからだ。また、国家試験の中には、ICUのようなクリティカルな内容はほとんど出なかった。

そのため、私は臨床に出てから毎日のように新しいことを学ぶ必要があった。自分の受け持ち患者は、どんな疾患を持っていて、どんな治療を受けているのか。呼吸器から透析装置、ECMOといったICUならではの医療機器。とにかく学ぶことがたくさんあった。

また、実際に学んだことを実践に活かせるスキルも求められた。これまで実習でもやってこなかったことが多数あり、最初は慣れるだけで相当苦労した。会わせて、薬剤の名前や効能、副作用なども幅広く学ぶ必要があった。ICUで使う薬剤は、国家試験勉強なかで触れてこないものばかりであったからだ。

Haru
Haru
研修医の先生とお話をしていても、国家試験と臨床現場で使う知識の乖離を感じているという意見をよく聞きました。

私なりの勉強法(臨床)

新人の頃は、毎日が学びの連続であった。受け持つ患者の予習・復習は欠かさず行うように心がけていた。前日には同期とチャットで翌日の受け持ち患者の情報を共有し合い、それを基に予習を行う。このサイクルを毎日繰り返していた。

職場では先輩のフォローがあり、業務開始前に自分が学んできたことや、看護する上での注意点を担当の先輩と共有することが日課となっていた。勤務終了後には必ず振り返りの時間が設けられ、一日を通して学ぶことが多く、心身ともに疲弊していたが、当時の経験は今でも活きていると実感している。

また、実際に自分で看護を行わないと身につかないこともある。机上の学習よりもはるかに効果的である。「百聞は一見にしかず」という言葉の通り、実際に目で見て、肌で感じることは、どんな学習方法よりも効率的であると考える。

一つの分野を深く学ぶだけでも難しい

臨床現場では、各看護師が特定の専門分野に配属される。脳神経外科、一般外科、小児科、産婦人科、内科、集中治療など、その領域は多岐にわたる。そのため、例えば脳神経外科の看護師は、自身の専門分野以外の知識、たとえば腎臓内科などについては深い知識を持ち合わせていないことが多い。

看護師国家試験では、全ての分野を広く浅く学ぶ必要があったが、臨床に出てからは自身の専門分野に特化した深い学びが求められる。臨床での醍醐味は、専門分野への深い理解が実際の看護ケアに直接活かせることにある。

なお、私が配属されたICUは状況が異なっていた。全科の手術後患者をはじめ、消化器内科、脳神経内科、小児外科・内科、新生児まで、実に幅広い患者を受け入れる部署であった。そのため、各分野を深く学ぶ必要があり、その勉強量は想像を超えるものであった。ICUでは、循環器や消化器、脳外科など、一つの病棟では経験しきれない症例を日々学ぶ必要があり5、全身の解剖生理に関する深い知識が求められた。

結局は国家試験勉強も大切

これまで国家試験の勉強は臨床では役に立たないと述べてきたが、実はそうではない。国家試験で学ぶ内容は、臨床現場での実践の重要な基盤となると思う。特に解剖学や生理学などの基礎知識は、実際の臨床での学習の前提となり、患者の状態を正確に判断し、適切なケアを提供するために不可欠である。

現在、国家試験の勉強に取り組んでいる看護学生や、日々の講義や実習に励んでいる学生たちに伝えたい。今の学びは決して無駄ではなく、むしろ将来の看護実践の質を左右する重要な基盤となるのである。ぜひ頑張って欲しい。

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Haru

この記事のライター

Haru

東京で生まれ育ち、大学卒業後、都内病院でICU看護師として働く。3年目で退職し、オーストラリア、シドニーに語学留学へ。その後2021年にイギリスへ渡英し、2023年英国看護師免許を取得。現在ロンドン国営病院の胸部外科病棟に勤務。趣味は、旅行、アウトドア全般、スポーツ観戦、映画鑑賞、読書。 https://note.com/haluuuuu64/ イギリスの看護師事情についてのブログや英国看護師を目指す方へ相談を中心としたサポートをしています。

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