Dr.美緒の迷い道 #4. 土日休み当直0、自由診療の甘い誘惑

こんにちは、美緒です。今回は、私の心の中でぐるぐると渦巻いている思いについて話してみたいと思います。それは、産婦人科医になりたいという昔からの夢と、QOLのために自由診療の道に進むことの間にある葛藤です。若手の先生方なら誰もが一度は頭によぎったことがあるのではないでしょうか。

Dr.美緒の迷い道 #4. 土日休み当直0、自由診療の甘い誘惑

目次

  1. 産婦人科医への夢から始まった私の医学人生
  2. 本当に同じ自分?研修開始で一変した私の考え
  3. 土日休み当直なし2000万円スタートの誘惑
  4. 自由診療にだって自由診療なりの難しさがあるはず
  5. 産婦人科 vs. 自由診療で悩み続ける日々
  6. iCoiのインストールはこちらから

産婦人科医への夢から始まった私の医学人生

大学入学前からの私の夢は、産婦人科医になって、女性の目線に立って、下がりゆく日本の出生率回復に貢献すること。大学に進んで医学を本格的に学び始めて、その思いはより一層大きなものになりました。長期休みを使って産婦人科に見学に行ったり、産婦人科関連の活動をする有志の学生サークルに所属したり、私は産婦人科医になるための道を着々と進み始めました。

そして産婦人科医になりたいという希望に、父も母も、祖父母も、高校時代の友人も、みんなが応援してくれていました。私はそんな状況に置かれた自分にも、どこか喜々としていたような気がします。

医師を志して医学部に入られた方は、目指す方向は違えど、多かれ少なかれ似たような時期はあったのではないでしょうか。

本当に同じ自分?研修開始で一変した私の考え

でも、夢と現実はそう簡単には一致しないんですよね。初期研修が始まって半年が経過した今、私は学生時代の自分とは全く違う自分になってしまった気がしているんです。実際に医療の現場で働き始めて、「仕事をしている」産婦人科医の先生達を近くで見て、私はこのような働き方はできないんじゃないかと思い始めました。

週2, 3回の病棟当直、土日祝日の帝王切開での呼び出し。極めつけは自己研鑽の名の下で支払われない残業代。

「どうしてそこまで自分を犠牲にして働くの?確かに、地方病院では代わりが効かない存在ではあるし、尊い仕事ではあると思う。でも、疲れ切った顔で、無給で残業したり休日もなく働き続けたりしているのはどうして?」

来る日も来る日も私の頭の中に浮かぶのはそんな考えばかり。私は自信を失っています。そして正直、とっても苦しいです。だって、やっと医師免許を手にして、ようやく夢のスタートに立ったと思ったのに、その先生方は本当に大変で、ご自身と家族のことを犠牲にしているんです。

それを目に初期研修をしていて、3年目以降の未来を明るく思い描くことなんて、未熟な私には到底できそうにはありません。

学生時代は無知だったと、そう片付けてしまえばそれだけの話ではあるのですが...

土日休み当直なし2000万円スタートの誘惑

そんな時、大学時代の同期のMちゃんから、大手美容外科の説明会に行ったと話を聞きました。大手の美容外科では、勤務は平日の週5日で9時から17時過ぎまで、そして土日は休みだと言います。当然当直もなければ病棟業務もありません。寝ている夜間にピッチが鳴って呼び出されることもないのです。そして、極めつけは3年目から年収2000万円でスタート。これは、都内大学病院の専攻医の給料の倍以上です。

Mちゃんは、「美容外科なら手術もできるし、QOLも高いし、子育てや出産で休職もしやすいし、良いことづくめだよね」とLINEで私につぶやきました。

そうなんです、QOLを考えたら、自由診療は圧倒的に魅力があります。これで心を揺さぶられるなという方が無理がありませんか?

Mちゃんはもうすぐ入職に向けて動き始めるそうです。動きが早くてびっくりしました。

自由診療にだって自由診療なりの難しさがあるはず

でも、自由診療の道を選ぶことは簡単ではありません。だって私がなりたかったのは産婦人科医だから。

いくらQOLが高くても、自分がなりたかった仕事を諦めて他の道に進めば、必ず後悔がやってきます。そして自由診療だって楽ではありません。難しい手術もあるでしょうし、患者さんの集客や満足度を維持することも容易ではないはずです。自由診療には自由診療なりの苦悩があるはずです。

そして、数十年という長い目で見た時、3年目で自由診療に進んだ場合に自分の人生がどのようになるかは全く想像も付きません。保険診療に戻ろうと思っても、スキル的に難しくてできない、なんてこともあり得るかも知れません。

隣の芝生は青い、というやつでしょうか。

産婦人科 vs. 自由診療で悩み続ける日々

今も産婦人科医になりたいという気持ちは強くあります。でも、同時に私もMちゃんみたいに、QOLがある程度担保された働き方をして、適齢期で結婚や出産、子育てができるような人生を歩みたいです。

でも、産婦人科の専攻医になったとき、それができるのかどうか私には分かりません。QOLや自分の人生を考えるのであれば、私は自分の将来を考え直す時が来ているのかもしれません。

これを読んでいる方の中には、私と似たような悩みを抱えている研修医の方や学生の方もいらっしゃるかもしれません。皆さんはどのように自分の将来を考えていらっしゃいますか?もしよろしかったら、コメントやX (旧Twitter)などで教えてください。

そして、既に専攻医になられた先輩方や自由診療に進まれた方のお話も聞いてみたいです。是非お待ちしています!

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