急性期で働く看護師は回復期病院へ転職できる?リハビリ病院の見学で断られた話
「もっとゆっくり働きたい…」忙しい毎日に疲れ、回復期への転職を考える看護師の方もいるのではないでしょうか?急性期と回復期では看護師としてのやりがいも違い、転職には慎重になることも…。今回は急性期で働いていた私が、リハビリ病院の見学で断られた体験を紹介します。
目次
急性期から回復期リハビリ病院への看護師の転職はできる?
急性期と回復期では看護師の仕事内容も異なります。
急性期看護に求められのは「救命と安定化」です。緊急度の高い患者さんを相手に、素早く正確な判断や診療の補助が求められます。数分で状況が一変する状態は、責任が重い反面やりがいを感じるのではないでしょうか。緊急度が高いため、看護師の人員配置は4:1がとられ、夜勤回数も多くなりがちです。
反対に、回復期では「機能回復と生活復帰」に焦点を当てたケアが求められます。患者さんや家族とじっくりと関わることで信頼関係を築き、その人らしさを尊重したケアを提供していきます。人員配置は13:1または15:1と看護師の人数が少ないため、担当する患者さんは多いものの、夜勤回数などは少なくなります。
同じ看護師の仕事であっても、優先されるケアは異なり、働き方にも違いが生じます。回復期は比較的患者さんが安定しており、イレギュラーな業務は起こりにくいため、プライベートの時間を確保しやすい働き方ができるでしょう。
急性期で働く看護師だった私が回復期への転職を希望した理由
急性期看護が好きで働いていた私が、回復期への転職を希望した理由は、家族の介護でした。実家で暮らしていた祖母の介護が必要な状態となり、助けになれればと思い、転職を決意しました。
祖母が介護が必要な原因となったのが、私の母(祖母から見た嫁)が亡くなったことでした。ショックで弱りつつある祖母と父。実家で同居していた妹だけに負担をかけるわけにはいかず、退職し実家に戻ることに。
そのため、プライベートが優先できる職場への転職を希望していました。
祖母は数年前に老衰で亡くなってしまいましたが、90歳越えの大往生でした。
父も妹も元気に暮らしています!
転職希望時の私の条件
それまでの私は循環器や救急科といった急性期看護をメインで学んでいました。見学当時は、3次救急を受け入れる総合病院の救急科に在籍していました。
看護師7年目ということもあり、日々のリーダー業務や委員会活動なども中心メンバーとなる年代です。
独身で夜勤も入れる状態でした。
回復期リハビリ病院へ見学に行って…
見学に行ったのは、地域でも大きめの回復期リハビリ病院。病棟は、リハビリ病棟と、地域包括支援病棟の2つだけです。1フロアは外来として稼働していました。
リハビリ病院なので当然ですが、患者さんも落ち着いている方ばかり。見学に行った午前11時頃でも、病棟がバタバタした様子はなく、穏やかな空気感が印象的でした。スタッフも見学に来た私に向かってにこやかに挨拶をしてくれる方ばかりでした。
業務内容としては、食事やお風呂など日常生活の介助やリハビリが中心。検査などもほぼないとのこと。
あまりにも穏やかな雰囲気に、ふだん働いている救急科の殺伐とした雰囲気とのギャップを感じたことを覚えています。
回復期リハビリ病院の看護師長から言われた衝撃の一言
「あなたには、物足りないと思うわ…」
病院見学を担当してくれた看護師長さんから言われた言葉です。
見学には、もう一人40代の新卒の看護師さんがいました。子どもがおり、優先度としては家庭の方が高いようです。その方に対し「ここは向いていると思うわ」と声をかける看護師長さん。当時の私の条件的に、断られるなんてことはないだろうと思っていたのでとてもショックでした…。
ただ、今思うと私の中に「急性期をやりたいという」気持ちがあったんだろうなと思います。何となく看護師長さんに伝わってしまったんでしょう。進むべき道に迷いがあった私に的確なアドバイスをくださいました。
7年間看護師をしてきて、急性期に魅力を感じていた私。回復期でやりたい看護がないまま、病院の見学に行ってしまったのです。たとえリハビリ病院に転職していたとしても、辛くなっていただろうな…と思います。
急性期で働く看護師の回復期への転職は目的を明確に!
はっきりと断られてしまった私は、回復期リハビリ病院は希望せず、自宅から近い総合病院へ転職しました。新しい病院では循環器科に配属され、改めて急性期の楽しさを感じました。
今回私が病院見学の時点で断られた原因は、回復期へ転職する目的が明確でなかったこと。働き方だけを優先し、看護という視点を考えられていなかったことです。
急性期とは違う回復期のやりがい。自分にできる看護をしっかり考えてから、転職を希望するべきだったと思います。急性期で働いていて、回復期への転職を目指す方は、自分のやりたい看護を見つめ直してから転職活動を始めることをおすすめします!
この記事のライター
牧野 夏乃
看護師として総合病院で10年勤務。循環器科や救急科など急性期看護が好き。働きながら看護学士を取得。結婚を機にクリニックへ転職し、現在も看護師として働く複業ライター。経験を元にリアルな情報をお伝えします。 仕事依頼はXのDMから。 https://x.com/kano_m_writer
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