医師ならみんな共感できるはず!オンコールのときの辛いこと4選!
医師のオンコール待機は、多くの医師にとって避けられない業務の一つです。一見自由な時間に見えますが、実は様々なストレスを抱えながらの待機時間となっています。今回は、現役医師である筆者の体験を交えながら、多くの医師が共感できるオンコール時の悩みについて紹介します。
私は何者?
オンコール待機中は大抵寝付きが悪い
医療系でない方向けに先に解説をしておくと、オンコールとは、医療機関や介護施設などで、緊急時に対応できるよう待機する勤務形態です。当直のように、病院で寝泊まりしたり夜通し救急外来をする勤務とは異なり、自宅や近隣の宿泊機能のあるところで待機をして、何かあれば電話で呼ばれるので、必要に応じて対応する必要があります。
このオンコールは、病院の規模、診療科、季節など様々な要因で呼ばれる頻度が変わります。実質当直と変わらないこともあれば、全く呼ばれずに結局何もせずに朝を迎えることもあります。
では、呼ばれなければしっかり眠れるのか?というと答えはNoです。呼ばれるかもしれない。あの病室のあの人のことでコールが来る気がするな...なんて不安を抱えながらベッドにつくわけですから、ぐっすり眠れるはずがないのです。
これは、オンコールを多数こなす医師にとって共通の悩みではないでしょうか。特に、家族がいて自宅でオンコールをしている場合、電話の音や夜間家を出るおとで起こすわけにもいかないので、かなり気を遣う問題だと思います。
なお、とある研究によると、定期的なオンコール待機がある医師の約65%が慢性的な疲労感を訴えており、40%以上が不眠症状を経験しているとされています。私の場合、オンコール明けの日は特に疲労感が強く、通常の診療にも支障をきたすことがありました。実際に呼び出されなかった日でも、常に待機状態であることによる精神的緊張から、質の良い休息が取れないのです。
シャワーいつ浴びたらよいの?
オンコール待機中は、シャワーや入浴、歯磨きなどの基本的な生活行動さえも気を使わなければなりません。外食も基本はできないですし、スーパーでの買い物すら時間との戦いになります。
私の場合、シャワーは5分以内で済ませ、常に携帯電話を手の届く場所に置くようにしています。また、食事も配達サービスを利用するなど、呼び出しに備えた工夫を重ねていました。
合理的な動きができる反面、やっぱりこれはかなりストレスフルです。シャワーを浴びているその5分間に呼ばれて電話に出られなかったらどうしよう、それが急変電話だったら?少し買い物に出たときに重症症例が来たら?そんなことを考えてしまうと、いつもそわそわしてしまいます。
コンタクトレンズ vs. メガネ問題
些細に感じるかもしれませんが、コンタクトレンズの着脱のタイミングもオンコール中の悩ましい問題ですよね。夜間の緊急呼び出しで眼鏡姿は避けたいものの、コンタクトレンズを装着したまま待機するのも目の健康上よくありません。
もう呼ばれないから大丈夫かな、と思ってコンタクトレンズを外して10分後に電話が鳴ったときの絶望感はひとしおです。仕方なく再度コンタクトレンズを装着しますが、それも目には良くないですからね。
ピッチャーの着信音がトラウマに
多くの医師が経験する「ピッチャー音の幻聴」は、深刻な精神的ストレスの表れと言えます。トイレに行く際でさえ、携帯電話を持ち歩く必要があり、まさに24時間拘束状態です。
実際、私も救急外来からの着信音が頭から離れず、シャワーの音で着信を聞き逃すのではないかという不安に悩まされた経験があります。あれ、今鳴った?いや、鳴ってないか...という自己問答を、オンコールの日は5回以上はしている気がします。
ちなみに、町中で同じ着信音を聞いても背筋が凍ることがあります。医師の皆さんならご経験ありますよね。
ちゃんとお金払ってほしい
これまでいろいろとオンコールのつらさをお話ししましたが、何より問題なのは、こうしたオンコールに十分な手当が出ていないことだと思っています。呼ばれなかったとしても、病院は我々医師の時間を拘束しており、移動の制限や生活行動の制限がかかっているわけです。それにも関わらず、呼ばれなかっただけで1円の手当ても出ない病院がたくさんあります。
実質的な拘束時間であるにもかかわらず、適切な評価を受けていないのです。医師の働き方改革が進められている現在、オンコール体制の見直しは喫緊の課題となっています。実際、多くの医師が月に8〜10回程度のオンコール待機を強いられており、それにも手当てが支払われない。この状況は早急な改善が必要です。
医師の皆さん、一緒にオンコールの日々を乗り越えましょう。そして、理不尽な現状に声を上げましょう。私たちの心と体を守れるのは、私たちしかいないのです。
この記事のライター
Dr.パンダ
地方出身、中高は公立で東京大学に入学し、医学科に進学して令和X年に卒業しました。現在は、地方の急性期病院にて勤務しています。ひとりの若手医師として心の内をリアルにお届けできればと思います。
この記事へコメントしてみる
コメントは運営が確認後、承認されると掲載されます。