マッチングに悩む6年生必見!地方でハイパーな初期研修をした私の思う病院の選び方!
医学部6年生のみなさん。病院見学はされていらっしゃいますか?夏になるにつれて、皆さんの頭の中はきっとマッチング一色になりつつあることと思います。今回は、私自身も悩みに悩んで、地方の大病院で初期研修をすることを選んだ経験から、初期研修先の病院の選び方についてお伝えします!
目次
そろそろマッチングの時期になりました
初期研修先のマッチングをこの夏に控えた6年生のみなさん、こんにちは。
早速ですが、皆さんはどのような病院で初期研修をしたいか、考えは固まってきましたか?もう志望する病院は決まった!という方もいれば、見学を何度してもしっくり来ず、頭が混乱してしまっている、という方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、地方のハイパー病院で初期研修をすることに決めた私の独断と偏見で、初期研修先の選び方についての考えをお伝えできればと思います。
私も狂ったように悩みに悩んだ末..
かくいう私も、初期研修先は本当に最後の最後まで悩みましたので、まずは私の研修選びの苦悩をお伝えします。
私は東海地方の田舎出身で、大学進学で都内に出てきました。私は関東圏での後期研修を想定して、地元には戻らず、関東圏で働こうと決めていました。どちらかというと、忙しい病院でたくさんの経験を詰みたいと考えていたことを覚えています。
実際、さまざまな病院を巡りましたが、都内のいわゆる「ハイポ病院」を見学した際は、「いや、自分にはもっと忙しい病院が良いはずだ」などと考え、地方の病院にも何度か出ていったものです。しかし、その一方、「このご時世でハイパーに行って身体を削ることは本当に良いことなのか?」と何度も自問自答しました。
結局、関東でも有数のハイパーな市中病院で初期研修をすることになりました。病棟と救急外来を合わせて、多い月は当直が15回程度と、限界を超えた働き方もしました。正直、何度か心が折れかけましたが、都内ハイポと地方ハイパーで揺れた私ならではの、病院を選ぶときに心がけることがいくつか整理されてきました。そのうちいくつかを抜粋してご紹介します。
その1. 忙しい=成長できる、ではないことを理解する
まずは、忙しいことと経験が積めることは必ずしも直接的な因果関係がない、ということです。
前のめりになりがちな初期研修前の今、「忙しくなければ成長できない」と考えてはいないでしょうか?しかし、それは本当でしょうか?
その忙しさは、患者さんを相手にする時間が長いから忙しいのでしょうか?それとも、書類作成やカルテ記載時間が長いから忙しいのでしょうか?私の経験や、同期の話をもとに考えると、労働時間が長い病院が、労働時間が短い病院よりも患者さんを前にした実務時間や考える時間が短いということは往々にしてよくあるようです。そのため、単にハイパーかハイポか、という二値で考えるのは危険だと思います。
また、労働時間が長いと、机に座って勉強できる時間が短くなることにも注意しましょう。初期研修のうちは、ガイドラインや研修医向けの書籍、レクチャーに触れる時間が大切です。その時間を確保できるか、についても考えを巡らせてみてください。
その2. 自分以外の「同期」にもベクトルを向けてみる
初期研修先を決めるとき、自分が何をしたいか、どの程度の忙しさがよいかを第一に考えることかと思います。しかし、社会人としてほかの方々と一緒に働く以上は、そこにどのようなひとがいるか、特に同期に対してどのようなことを望むか、というのも研修選びでとても大切でしょう。
例えば、地方のハイパー病院であれば、それなりに熱意のある方が集まる傾向がありますから、自分の刺激になることも多いでしょう。また、同期の人数が多い病院であるほど、多様な人材に出会うことができますから、その方達との関わりで人生の幅や視野が広がります。
このように、病院の所在や規模、研修医の人数で変わる環境要因についても考えてみましょう。周囲の人から受ける影響力というのは、自分が想像するよりもずっと大きいのです。
その3. 給料が精神の安定になることは避けがたい事実
人生はお金が全てではない、これは当たり前のことかもしれません。しかし、お金は生きていく上での重要な要素の一つですし、お金があなたのメンタルに大きな影響を与えることもまた事実です。
私は決して、とにかく給料が高いところに行くべき、といっているわけではなく、
・生活したり、ある程度自由に趣味や勉強にお金をかけられる程度の給料が出る
・働いた分だけしっかりと給料が支払われる
という2点が重要だと考えています。
前者についてですが、都内の一部の大学病院などでは、手取りが20万円台で、自由に参考書を買うこともできない、との嘆きがあるようです。なんだかんだ給料が担保されていることの精神的余裕は大切だったと振り返っても強く感じます。
また、私にとっては後者がより重要でした。私の病院では、それなりに当直に入った月は、額面が70万円/月(手取りで50万円台後半)ほどでした。しかし、オンコールで呼び出された手当が出ない、払うと言われていた残業代が出ないといった、労働した分を評価されていないという事実は、働き始める前に想像していたよりずっと労働意欲を削ぎます。ただの額面も重要ですが、給料の内訳はしっかりと意識しておきましょう。
その4. 病院選びは家探しと同じ、どこか妥協は必要
あなたにとって、すべての利点を掛け合わせた病院は存在しません。存在したとしても、それはごくわずかで、他の誰かにとっても同様で、倍率が高くなることは避けられません。戦略として、そのような病院だけを探すのは最適ではないように思われます。
初期研修先探しは、一人暮らしのマンション選びと通ずるところがあります。駅からの近さ、風呂・トイレ別か、家賃、街の治安数など、マンションを選ぶときはどこを重視して、どこを妥協するか、不動産屋さんから細かく聞かれますよね。
初期研修先も同じです。労働時間?給料?東京からの近さ?あなたが最も重視しているのはどれでしょうか?逆に、妥協できるのはどこでしょうか?項目を整理して評価をしましょう。
ここで私が気をつけていたことが1つあります。それは「比較の仕方を間違えない」ことです。
といった、比較する項目を揃えず、一方の良いところだけを見てしまうと、視野が狭くなってしまいがちです。両方の良いところ、悪いところを比較して考えるように注意しましょう。
その5. すべてのアドバイスばポジショントークである
これは避けようがないことではありますが、全てのアドバイスはポジショントークになってしまいます。私のこの記事も同様です。
同じ人間が複数の病院で同時に働くことはできない(=反実仮想)ので、あなたがアドバイスを請う人は、どうしても特定の環境に寄った意見になってしまいます。
そして私も含め、誰しもが自分が歩んだ道を肯定してしまいがちです。忙しい病院で働いて初期研修を完走した人は、どうしても「初期研修は忙しいところで経験を詰むと良いよ!」と言いますし、逆も同様です。
そのため、アドバイス、というのはあくまである個人のアドバイスでしかないことを意識しましょう。あなたの主体性を失うような決め方はしないほうが良いです。
あなたの心の中で、本当に望んでいることはなんでしょうか?あなたは、どこなら初期研修を完遂できるでしょうか?ご自身の胸に手を当てて、今一度考えてみることをオススメします。
最後は勢い。あなたの初期研修先選びを応援しています!
今回は、悩みに悩んだ末、地方のハイパー病院で研修をした私が考える、病院を選ぶときのポイントをご紹介しました。
初期研修先選びは、悩む方にとっては本当に難しい問題かと思います。しかし、思い詰めすぎないでください。どんな道を選んでも、どのような結果になっても、あなた次第でどのようにでも道は開けると思います。最後は勢いで、あなたの直感に沿って決める勇気も大切になってくるでしょう。
卒業試験、マッチング、国家試験と大変なことが続くと思いますが、あなたの道が開けますように!心の底から応援しております!
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この記事のライター
Dr.パンダ
地方出身、中高は公立で東京大学に入学し、医学科に進学して令和X年に卒業しました。現在は、地方の急性期病院にて勤務しています。ひとりの若手医師として心の内をリアルにお届けできればと思います。
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