【後編】不妊治療と医師の仕事は両立できる?内科系医師の選択に迫る!

不妊治療を受ける方は年々増加しており、女性医師に関してもその例外ではありません。今回は、多忙な診療科で勤務されながら婚活をご経験され、現在は不妊治療に奮闘中の「はなねこ先生」にお話を伺いました。婚活と不妊治療を通じて感じたはなねこ先生の苦悩をお聞きします!

【後編】不妊治療と医師の仕事は両立できる?内科系医師の選択に迫る!

目次

  1. 後編は女性医師が働きやすい環境について考えます!
  2. 患者さんからの感謝が一番のやりがい
  3. 現在の医療制度ではワークライフバランスの実現が困難
  4. 女性医師の働きやすさのカギは「受診の至適化」
  5. またきっと同じ道を選ぶ。自分の選択を正解にしよう!

後編は女性医師が働きやすい環境について考えます!

前編では、はなねこ先生が多忙な勤務をされながら婚活に苦戦し、現在は妊活に奮闘されているお話をお伺いしました。

後編では、医師としてのやりがいや、ワークライフバランスのお悩み、さらには女性医師が働きやすい医療現場について詳しくお聞きします。

【前編】不妊治療と医師の仕事は両立できる?内科系医師の選択に迫る!

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患者さんからの感謝が一番のやりがい

医師として日々診療を行う中で、どのようなやりがいを感じていらっしゃいますか。

はなねこ先生
はなねこ先生
忙しい生活でもそれなりにやってこられたのは、やはり患者さんとの出会いがたくさんあったからだと思います。私はいわゆる難病を専門にしているので、患者さんは何の落ち度もないのにつらい治療を強いられ、それでも命を落としていく、というのが日常的に起こります。
でも、何とか少しでも良くならないか、患者さんが好きなように生活を送れるようにならないかと心を砕いていますと、患者さんから思いがけない感謝の言葉をいただくことがあります。それが日々の栄養ドリンクです。

患者さんの気持ちに寄り添うことが大切なのですね。

はなねこ先生
はなねこ先生
すべての患者さんをうまく助けられるわけではないですが、少なくとも自分が主治医になった患者さんについては、ご自分で満足が行くような治療を受けて、満足の行く人生を送ってもらえたらなと日々考えています。
医師の仕事は肉体的にも精神的にもキツいものではありますが、とてもやりがいのある仕事だと思います。

現在の医療制度ではワークライフバランスの実現が困難

お仕事とプライベートの両立について教えてください。

はなねこ先生
はなねこ先生
ワークライフバランスは絶賛もがいている最中です。 これを解決するには、日本の医療制度を根本的に変えないといけませんし、日本人の価値観さえも変わらないと難しいと思っているので、すぐには改善しないものだと考えます。

なるほど。日本の医療現場はどのように変化すべきでしょうか。

はなねこ先生
はなねこ先生
臨床留学を経験して気が付いたことですが、日本はサービス過剰な社会であると思います。特に医療業界は、医師の使命感や義務感を建前にして、これまで働き方が見直されてこなかったというのが大きな問題です。現在、少しずつ「働き方改革」が言われてはいますが、それでも月100時間以上のサービス残業をしている医師が多く存在しています。

月100時間以上は過労死ラインを超えていますよね。医師の労働時間の短縮には何が必要でしょうか。

はなねこ先生
はなねこ先生
医師でなければできない仕事(手術や侵襲のある検査、治療方針の検討)以外は、コメディカルへ業務を移行し、さらに患者さんの受診体制をきちんと整理することが必要であると考えます。

女性医師の働きやすさのカギは「受診の至適化」

臨床留学先の国と日本の医療現場ではどのような違いがありましたか。

はなねこ先生
はなねこ先生
私が留学していた欧州の某国では、同じ診療科でも女性医師の割合が半分以上を占めていました。どうしてかというと、医療制度が日本とまったく違って、医師のQOLが保証されているからなんです。

留学先の医師のQOLが高かったのはなぜでしょうか。

はなねこ先生
はなねこ先生
私の留学先は公立の専門病院だったので、患者さんはすべて紹介患者さんのみで、薬の処方や普段の通院は引き受けていませんでした。急患対応も別の病院がしているので、私の上司は専門外来と入院患者さんの診療がメインで、ほとんど9~17時で退勤していました。
検査の予約やカルテ記載はすべて医療秘書さんがやってくれますし、退院調整や転院調整も看護師さんがやってくれているので、本当に「医師って専門知識をアドバイスする職業なんだな」と思わせる働き方でした。

留学先では、病院の機能分担と職種による役割分担の二点が明確だったのですね。

はなねこ先生
はなねこ先生
そもそも社会全体が日本ほどきちんと時間通りでなかったり、病院の機能にスピード感のある対応を求められない傾向にあったことは要因かもしれません。これならば、子育てしながらの女性でも充分やっていけるなと納得しました。

対して、日本の場合はいかがでしょうか。

はなねこ先生
はなねこ先生
日本では「フリーアクセス(患者さんが自分の行きたい病院に好きなようにかかれる)」という点が、まず大きな海外との相違点です。もちろん、海外ではなかなか専門医にかかれず手遅れになってしまう症例もあるので、一概に制限するのは問題かもしれません。でも、「大きな病院のほうが安心だから」という理由のみで二次、三次医療機関に初診でかかったりするのは、医療機関の役割分担を無視しており、医療者にとって大きな負担になってしまいます。

大病院で勤務する医師の負担が大きくなってしまいますね。

はなねこ先生
はなねこ先生
急を要する状態でなければ、やはりまずはクリニック等の一次医療機関を受診し、紹介の必要性があれば二次医療機関へ、さらに専門的な治療が必要であれば三次医療機関と、段階を追って受診してもらうようにしなければ、大きな病院はどこもパンクしてしまいます。
こうした受診プロセスの整理を行うとともに、一次医療機関であるクリニックや診療所での診療内容の充実、質の向上も同時に行っていく必要があると思います。

またきっと同じ道を選ぶ。自分の選択を正解にしよう!

後進の医師、医学生にメッセージをお願いします。

はなねこ先生
はなねこ先生
「好きこそものの上手なれ」なので、好きな分野でないとなかなか続きません。なので、興味のあるところに進むのが結局は良い結果につながると思います。
そもそも人生どう転ぶかなんて誰にもわかりませんし、私も自分がこんなに仕事を好きになるとは学生の頃にはこれっぽっちも思っていませんでしたし、まさか難病を専門にするなんて全然考えていませんでした。

思いがけないところに興味は転がっているのですね。

はなねこ先生
はなねこ先生
私も不妊治療でもがいてはいますが、正直なところ、仕事よりも不妊治療を最優先しようと思えば、なにも大病院でなくても勤務先を変えて、平日午前だけ外来とか、検査だけとかでも働き口は見つかりますし、収入もそれなりに得られます。子どもができて落ち着いてからだって、学び直すことはいくらでもできます。
私はこれまで頑張ってきた専門の仕事を完全に辞めてしまいたくないから、大学病院に居続けているだけですので、選択肢はもっとたくさんあります。

個人の価値観によって優先事項は異なりますね。

はなねこ先生
はなねこ先生
不妊治療はしんどいなと思うことも多いですが、それ以上にこれまでの自分の仕事には満足しています。なので、研修医の頃に戻って「楽な妊娠出産か、今のキャリアのどちらを選ぶ?」と聞かれても同じ道を選ぶと思います。変に考えすぎずに、とにかくやってみたいことにどんどんチャレンジしてみるのがいいと思います!

自分の選択が正解だ、と胸を張れるお姿がとても素敵です。

はなねこ先生
はなねこ先生
不妊治療や仕事との両立などについて、ブログを徒然なるままに不定期に綴っていますので、よろしければ覗いてみてください。
はなねこ先生の不妊治療ブログはこちらから!

はなねこ先生、ありがとうございました!

さき

この記事のライター

さき

関東圏の女子医学生。 内科系、統計学や疫学に興味があります。

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