先進国で女性医師割合ワーストは日本!?アメリカから学ぶ今後の課題は?

経済開発協力機構(OECD)が発表している統計データによると、日本は医師全体における女性医師の割合がワーストとなっているようです。この記事では、他国と比較した日本の女性医師の割合から見える医師のジェンダーギャップについてご紹介していきます。

先進国で女性医師割合ワーストは日本!?アメリカから学ぶ今後の課題は?

目次

  1. 日本の女性医師割合は先進国ワースト
  2. 日本も年々女性の割合が増加しているが...
  3. 女性医師活躍のための取り組みが盛んなアメリカ
  4. iCoiは結婚の問題から貢献を
  5. 参考

日本の女性医師割合は先進国ワースト

皆様に質問です。日本の医師全体に占める女性の数をご存じですか?

経済開発協力機構(OECD)が発表している2020年のデータによると、日本の医師約32万人のうち、女性は約7.4万人(23%)でした。この割合はOECD38カ国中ワーストとなりました[1]。

OECD加盟国では、イギリス(49%)やスペインが(56%)など、ヨーロッパの多くの国では約半数が女性医師であることが分かっています。驚くことに、女性医師の割合が20%台だったのは日本と日本のお隣の韓国(24%)だけだったのです。

OECD加盟国(一部)

女性医師の割合

ラトビア

71%

スペイン

56%

イギリス

49%

ドイツ

48%

フランス

47%

アメリカ

37%

韓国

24%

日本

23%

iCoi運営のひとこと
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ラトビアは女性医師の割合が70%を超える結果となりました。これは昔から女性も高等教育を受けられるシステムが整っていたことが寄与しているそうです。とはいえ、医師の給与は日本よりは低く、国民平均レベルであるという社会背景を踏まえると、日本と単純比較することは難しいかもしれません。

日本も年々女性の割合が増加しているが...

次は35歳未満に絞って、OECD加盟国の女性医師の割合を見てみましょう。

OECD加盟国(一部)

女性医師の割合(35歳未満

ラトビア

73%

スペイン

67%

イギリス

55%

ドイツ

57%

フランス

62%

アメリカ

48%

韓国

38%

日本

34%

こちらを見ると、日本は34%と35歳未満の医師3人に1人が女性であることがわかります。35歳未満の若手であれば、日本も女性医師の割合が増加しているようです。

しかし、他の国に目を向けると、ヨーロッパのほとんどで女性医師がマジョリティであることがわかります。また、医師全体では女性が37%に留まったアメリカも、35歳未満であれば約半数の48%が女性という結果になりました。

このように、日本も女性医師の割合が増加していますが、依然としてOECD加盟国最下位のままとなっています。

女性医師活躍のための取り組みが盛んなアメリカ

  • それでは、なぜ他国では女性医師の割合がここまで増えているのでしょうか?ここでは、女性の増加が著しいアメリカの例を一部見てみましょう。

  • アメリカでは長らく医学部に入学するのは男性が多かったようですが、ここ10年で女性が倍増し、2017年に医学部に入学する女性の数が男性の数を上回ました。そして2019年には、医学部在籍者の女性割合が51%と、在籍者においても男性を上回りました。

  • このような数値の背景には、次のような要因があるようです。

働き方改革の推進

  • 米国でもいわゆる「働き方改革」が進み、フルタイムで働く医師や残業を重ねる医師が減少しつつあるようです。その結果、医師の働き方がより多様化し、女性も働きやすい仕事へと変化しているといいます。

エビデンスベースに基づく女性医師の地位向上

  • 米国では、医師間のジェンダーギャップの存在や、女性医師の重要性についてエビデンスを出すことで社会的に訴えようとする側面が強いようです。

  • その代表として、2016年頃からJAMA Internal Medicine[2]などの大手英文科学雑誌において、女性医師のほうが担当患者の治療成績が良いとする研究が発表されるようになりました。

  • こうした研究は一般社会でも大きく注目を集め、女性医師の社会的地位を高めることとなり、女性の医学部入学者の増加に繋がったとされています。
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ちなみにJAMA Internal Medicineにおいて女性内科医のほうが患者の再入院率が低いことを示したのは、米国で勤務する日本人医師によるものでした。

女性医師による女性医師のための活動

上記のほかにも、米国では、”She for She”という女性の社会進出を応援するための社会運動やWhat’App, Facebookといったソーシャルメディアを利用した女性医師支援団体の活動がさかんなようです。

iCoiは結婚の問題から貢献を

今回ご紹介したように、日本はまだまだ欧米諸国と比べると女性医師の割合は低く留まっています。しかし、着々と若手の女性医師割合は増えており、今後もその傾向が続くことが予想されます。

また、今年に入り、日本でも消化器外科領域において、男女の外科医において手術成績の差を検証した研究[3]が発表されるなど、エビデンスに基づくジェンダーギャップの解消へと少しずつ進歩しているようです。

私たちiCoiは、これからも増えていく女性医師の皆様のために、「結婚」という側面から課題の解消に貢献できればと考えています。

同時にiCoi Blogでは、女性医師のライフスタイルだけではなく、こうした社会問題についても取り扱い、医療界の多くの方々にお届けして参ります。読みやすい記事の提供を心がけていきますので、どうぞよろしくお願いします!

参考

  1. OECD.stat (https://stats.oecd.org/)
  2. Tsugawa Y, et al. Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates for Medicare Patients Treated by Male vs Female Physicians. JAMA Intern Med.
  3. Okoshi K, et al. Comparison of short term surgical outcomes of male and female gastrointestinal surgeons in Japan: retrospective cohort study. BMJ. 2022;378:e070568.
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