産業医資格はどうやって取得するの?申し込みから講座受講まで徹底解説!
近年、若手医師を中心に人気がより高まっている産業医。産業医という選択肢が、あなたの医師人生に新たな可能性を開くかもしれません。今回は、初期研修医のうちに産業医講習を受講した私が、産業医資格やその受講までの流れを解説します。
目次
私は何者?
産業医資格について知ろう
産業医とは、職場における労働者の健康管理を担う医師です。主に企業において労働環境の改善や健康指導などを行います。特に50人以上の労働者がいる事業場では、産業医の選任が法的に義務付けられています。
産業医の役割には以下のようなものがあります。
- 健康診断の実施と結果に基づく健康管理指導
- 職場の作業環境の評価と改善提案
- メンタルヘルスケアの支援
- 労働者からの健康相談対応
- 長時間労働者や特定有害業務に従事する労働者の健康管理
産業医資格を取得するには講習の受講をしよう
産業医資格を取得するためには、産業医基礎研修で50単位取得するか、産業衛生コンサルタントの資格を取る必要があります。単に産業医資格を取得するためであれば、前者の産業医基礎研修の受講をするほうが労力は小さいでしょう。
産業医基礎研修の場合、基礎的な内容を中心に、職場の健康管理、労働安全衛生法、産業医学の基礎知識を学びます。労働安全衛生法に基づくもので、日本医師会や大学の産業医研修プログラムなどで提供されています。
産業医資格を取得するために必要なコストは意外と大きい
さて、この産業医基礎研修ですが、修了までのコストは時間的にも金銭的にも意外と大きいです。
まず、講習は全部で50単位の取得が必要です。1単位1時間なので、合計で50時間はかかります。大抵講習は土日に実施されるのですが、9-17時で約7単位ですから、毎日フルタイムで受講しても1週間はかかります。
産業医は臨床とは異なる知識が必要とされますから、医師と言えど簡単にできるものではありません。しかし、普段の業務+土日の当直などをこなしつつ取得することになるため、時間的コストは大きいですよね。
また、金銭的コストも小さくありません。開催地までの交通費など、住んでいる地域にも異なりますが、10-20万円程度はかかります。決して安くはない金額なので、将来、産業医資格を使用して働く気はあまりないけど、一応取っておくか...という気持ちで取る資格ではないことは明らかですね。
とはいえ、後期研修医以降で産業医としてバイトをしたい、いずれ臨床ではなく産業医として活動したい方は、初期研修医のうちに資格を取るのに必要な基礎研修を終わらせてしまうのが賢い選択でしょう。
産業医基礎研修の申し込みは殺到する
産業医基礎研修を受講する場合は、各都道府県医師会が主催する産業医講座を受講することになります。特に集中的に1週間などで50単位を取得できるプログラムは非常に人気です。
申し込みたい場合、申込開始日に急ぎ申し込むことが必要です。なお、受講したい先の都道府県医師会に所属すると、講座の情報を先行して入手しやすくなるようです。
身の回りで聞いたところによると、各医師会に所属していた方が、講座の受講枠自体も確保しやすい場合があるとか。その知人は、公募の申込は締切済、と書いてあっても医師会経由であれば受講できたと話していました。
なお、労働衛生コンサルタントの資格を取得する場合は、更新が不要です。産業衛生コンサルタントの試験は実務経験があった方が有利な試験のようです。
私が産業医資格を取得しようと思った理由
私が産業医資格を取得しようと思ったのは、初期研修で臨床業務を開始して以降、この先臨床医だけで一生生きていくのは難しいかもしれないと考えたからです。
労働時間の長さ、保健医療の低迷などが要因です。いざ臨床医が難しいとなってから産業医研修を受講するのは時間的に難しいと考え、初期研修の有給休暇が取得しやすいタイミングで50単位を取得することにしました。
実際に基礎研修を受けに行った感想
産業医基礎研修は、座って講義を聞くのみで、特に課題などはありませんでした。私が講座受講した際には、座席自由で初日以降で変更はありませんでした。座席によって電源使用可能な席もあったため、初日の朝は早めに行くと翌日以降も便利でした。
産業医資格証の申請を忘れずに
産業医研修を修了したら、医師会に対して「産業医資格証」を申請します。申請にあたっては、所定の申請書類や研修修了証明書が必要です。資格証の発行には、時間がかかるようなので、働きたい時期より先行して申請を行う必要があります。
産業医資格は取得するのは難しくありませんが、費用もかかる資格です。取得が必要か検討の上、取得したい場合は医師会への所属も検討しましょう。
この記事のライター
むーみん
関東で初期研修をする2年目です。都内の中高一貫女子校を卒業し、関東の医学部を卒業しました。専門は麻酔科に進む予定です。
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