医者である私がICLを受けてみた!オブラートに包まず感想を語ります!
こんにちは、むーみんです。初期研修2年目である今年の夏、私は眼内コンタクトレンズ=ICL(Implantable Collamer Lens)治療を受けてみました。医師の視点から、ICLの実態について素直にレビューをしてみます。
目次
私は何者?
- 初期研修医2年目
- 両眼とも近視-3D, 乱視-2.5D程度
- 眼科ローテは2週間ほど
ちなみに、私は痛みにかなり弱いです。22Gでも採血されるのが嫌で、学生実習のルート練習は動いて仕方なかったので腕を押さえつけられ、方向変換時に泣き出したので取れないまま終了したほどの弱さです。
また、軽度の先端恐怖症があります。ストローが目の方向を向いて置いてあるとなんとなく怖くて方向を変える程度の症状があります。
当直の夜を経てICL手術を受けることを決めた
研修医として働き始めてから、当直で毎晩メガネや翌日のコンタクトを準備することが手間でした。とはいえ、当直でコンタクトを付けると、明け方にはコンタクトが乾いてきてよく見えなくなります。
後期研修の進路の都合で後期研修中にICLの時間は取れない可能性が高く、初期研修医のうちに受けないと機会を逃すのではと、初期研修医のうちに手術を受けるほうがよいのでは、と思いました。
クリニックの決め手は通いやすさと割引プラン
都会であれば、ICLを受けることができるクリニックは多数あるかと思います。私の場合ですが、「通いやすい場所」を第一のポイントにして探しました。術前術後検査でも繰り返し通うため、安さだけを考えて遠い場所にすると後悔するかももしれません。私は術後すぐからある程度見えていましたが、術当日はぼんやりして見えづらいと感じる方もいるので、通いやすい駅から近いクリニックが良さそうです。
とはいえ、料金も大切です。クリニックごとの割引プランも注意して探してみてください。私が受けることにしたクリニックでは、紹介割が使えたため、少し安くもなりました。私の場合、最終的に支払った金額は両目で52万円でした。
ICLのなかでは安い方ですが、それでも痛い出費です...しかし、コンタクトを毎日つけることを考えれば10年程度で元が取れます。
認定医や麻酔でクリニックを選ぶもよし
ICLの業界には、ICL認定医制度というのもがあるようです。より腕のよい医師に手術をして欲しいと考える場合、認定医がいるクリニックを選ぶと良いかもしれません。
また、笑気麻酔の有無もクリニック毎に異なります。希望のある方は笑気麻酔で受けられるクリニックを選びましょう。私が検討したクリニックの中で乱視ありの手術料金の安いところが笑気麻酔なしだったので、かなり痛みに弱い方ですが、笑気麻酔はなしにしました。
術前検査:コンタクト非着用期間あり
術前検査前はコンタクト非着用期間があります。私は乱視で1週間の非着用期間が必要だったので、コンタクトをつけないといけない用事と調整して予約を取りました。
実際の術前検査時間は3時間程度でした。調節近視・遠視・乱視度数と非調節度数、視力、角膜内皮細胞数、角膜形状、角膜厚、眼圧、前眼部OCT、瞳孔径、眼底検査がありました。前眼部にスペースがない場合やレンズが大きすぎる場合には緑内障リスク、レンズが小さいと白内障やレンズが回転して乱視の矯正ができないリスクがあるため、上記の検査があるようです。
手術の日程調整がやや大変
術前検査が終わり、レンズ代を入金するとレンズの手配が始まります。レンズ入荷時期がわかると連絡が来て、手術日を決めました。
入荷時期は、レンズによって2週間(国内にあるレンズを取り寄せ)〜数ヶ月(海外にあるレンズを取り寄せ)など幅があるとのことでした。
当日は散瞳するため運転不可、シャワー不可、翌日午前に術後検査があり、1週間は洗顔と目元の化粧不可などの制約があるので、都合と調整して当直明けに手術、翌日は午前休で検査の予定にしました。
ICLの場合、術前のコンタクト非着用期間の有無や術前抗菌薬の有無はクリニック毎に異なるようです。私が受けたクリニックでは、術前3日点眼がありましたが、コンタクトは前日まで可でした。
手術当日までにしたこと
私が手術当日までにしたことを共有します。
・洗顔シート
術後1週間洗顔ができないため、100円均一で購入しました。
・つばの広い帽子
術後散瞳していて眩しいので、電車内でも被れる帽子は便利でした。
・日傘
日焼け止めを塗れないので、特に夏は日傘はあった方が良いです。
・前髪カット
前髪をなくせるほどではないけれど長かったので、目に入らないように切りました。
・汗をかきそうな家事全般
毎日はしなくてもいい家事である作り置き、トイレ掃除などは先にやっておきました。
・明るさ調整可能な部屋の照明
手術当日はまぶしいため、ある程度調整可能な方が過ごしやすいと思います。
手術当日:最初は過呼吸になりかけたがすぐに慣れた
ICL当日は、受付と残金の支払いを済ませ、当日検査の後、前室に通されました。麻酔などの点眼を5分おきに何度かされ、診察を受けました。
そして手術帽を被り、手術室に行きました。仰臥位で清潔にされ、覆布をかけられ、上下眼瞼にテープを貼られ、開瞼器で目を開かれて手術が開始しました。
手術時間は片眼で約10分でした。術中は眼内操作による不快感がありましたが、散瞳状態で器具の先端まで見えないため、器具の接近を感じる程度でした。個人的には先端恐怖症的な恐怖感はあまりありませんでした。
乱視矯正を含む手術では、角度調整のため手術時間と不快感がやや延長する可能性があります。友人の口コミを聞く際は、乱視の有無による違いを考慮する必要があると思います。
手術が終了したら、ドレープとテープが外されます。この際、まつげが少し抜けますが、術後に脱落し眼内に混入する可能性のある睫毛を予防的に除去できると考えると、ありがたい処置でした。術後は点眼と診察を受け、保護メガネを装着して帰宅しました。なお、散瞳による羞明があったため、帽子や日傘が必須です。
余談:私が受けた手術の流れは多分こう
眼科ローテ2週間なりに、手術中にされていることの想像がつきました。眼科志望ではなく、事実確認したわけでもないので、誤りがあってもお許しください。
術前に怖いと思っている方が詳細を読むと余計怖くなる可能性があるので、「何されているかわからないことが不安」な人以外は術前には読まないほうが良いかもしれません。眼科医志望の人は、患者さんが痛くて声をかけるべきポイントがもしかすると参考になる可能性も少しはあるかもしれません。
ICL手術の詳細な流れは以下の通りでした:
- 1. 生理食塩水による洗浄。特に刺激感なし。
- 2. ポビドンヨード液による洗浄。頭尾側および上下眼瞼内側も洗浄。わずかな刺激感あり。
- 3. ガーゼで眼周囲を清拭し、ドレープ装着。上下眼瞼にテープ固定。視野が遮られるため、閉所恐怖症の患者には不安を与える可能性あり。
- 4. 開瞼器装着。外見上は不快そうだが、実際の違和感は最小限。
- 5. 術者によるレンズ方向調整のため短時間待機。その後、顕微鏡が接近。顕微鏡光源の輪郭が認識できる程度に焦点が合う。
- 6. 角膜切開。器具の柄(ピンク色)は視認可能だが、先端の接近感はなし。麻酔により無痛。
- 7. 切開部位から眼内麻酔薬投与。軽度の圧迫感あり。
- 8. 粘弾性物質注入。注入時に圧迫感と軽度の痛みあるが、体動を誘発するほどではない。
- 9. レンズ挿入。無痛。レンズ位置・角度調整。最も疼痛を感じるが、耐えられる範囲。
- 10. 粘弾性物質吸引。圧迫感解消。吸引音により手術終盤を実感し安堵。
- 11. 最終的なレンズ位置調整。痛みあるが、耐えられる範囲。
- 12. 前房内生理食塩水量調整。ほぼ無痛。
- 13. 手袋装着した手による眼圧チェック。圧迫感あり、不快。
- 14. テープとドレープ除去後、対側眼の手術へ移行。同様の手順を繰り返す。
術後もそこそこ通院が必要
術後は、当日から抗菌薬、ステロイド、NSAIDsの点眼を開始します。1日4回あるので、少し面倒ですが、1ヶ月程度続ける必要があります。術後検査は翌日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月にあります。
翌日検査で視力、眼圧、レンズの位置など診察がありました。この時点で術後の目の違和感は改善しており、視力は左右ともに1.5でした。
また、術後は眩しさも気になりますが、2日程度で改善しました。レンズに穴が空いているためハローグレアはなくなりませんが、それも1週間程度で気にならなくなりました。
メガネの無い世界は快感!!
長くなりましたが、以上が私のICL体験記です。この記事を書いている時点で、術後から2週間ほどが経過していますが、すでにメガネを掛けているときと同じくらいよく見え、大満足です。
痛い出費でしたが、それに見合うものは得られたと現時点で思っています。ICLを受けたいと思っている方の参考になれば幸いです。それではまた次回!
この記事のライター
むーみん
関東で初期研修をする2年目です。都内の中高一貫女子校を卒業し、関東の医学部を卒業しました。専門は麻酔科に進む予定です。
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