茗荷谷駅3分115平米で3億越えの土地、勤務医はどうすれば買えますか?

これから勤務医の給料は下がっていきます。20~30代の医師のみなさんは、僕と同様、そんな不安を抱えていることと思います。これからどうしたら、僕らに勝ち目があるのでしょうか。そして、どうしたら都内の一等地に暮らすことができるようになるのでしょうか。

茗荷谷駅3分115平米で3億越えの土地、勤務医はどうすれば買えますか?

目次

  1. 突然現れた超一等地の3億円越えの物件
  2. アラサーになって3S1Kに強い憧れを抱くようになった
  3. 勤務医の現実、数字で見る厳しさ
  4. 憧れの裏に潜む罠
  5. 郊外に出る選択は諦め?それとも前進?

突然現れた超一等地の3億円越えの物件

2024年9月のある日、趣味の一環で何気なくSUUMOを眺めていました。すると、僕の目に信じられないような不動産情報が飛び込んできました。それは、茗荷谷駅から徒歩3分、115平米で3億円を超える土地でした(実話)。

坪単価1000万??え??少し寝返りを打つことができる程度の、畳2枚分のスペースに1000万の根が付いているのです。ここ10年間の都心不動産の価格上昇は、本当にバグっていると思います。

とはいえ、今ならその値段が付くのも分からなくはありません。茗荷谷といえば、言わずとしれた文京区に位置し、非常に落ち着いた町並みで人気の地域です。最近では中央大学法学部のキャンパスができたことでも話題になりました。(なんでも中央大学法学部の受験倍率が爆上がりしているとか。)

そんな茗荷谷の、しかも春日通りからすぐのところに115平米の土地が出たともなれば、争奪戦になるのは必然とも言えるはずです。その争奪戦に参加できるはずもないのに、僕はSUUMOを見て心臓が高鳴るのを感じました。しかし、その高揚感もつかの間、数日後にはその情報は消え去っていました。誰かの手に渡ったのでしょう。お金持ちって、怖いね。

アラサーになって3S1Kに強い憧れを抱くようになった

その翌週、僕はたまたま仕事の都合で後楽園の近くに来たついでに、文京区の一帯を散歩しました。後楽園駅を出て、春日通りを歩いてパークコート小石川の周辺へ。パークコート小石川は、文京区最高峰のマンションの1つです。2024年9月、物件情報サイトで、64平米で1億8千万円で売りに出ていました。周囲のテナントが高額故に少し空いていることは残念ですが、ここに住めたら言うことはないでしょう。うらやましい限り。

春日駅まで来て、少し廃れた商店街へ。この先の千川通りを歩いたところに、2026年頃に出来るリビオシティ文京小石川は、共同印刷の跡地にできる巨大マンションとして注目を集めています。それを機に、商店街ももう少し活性化するのでしょうか。

そして桜並木で有名な播磨坂を登ると、立派な門構えの家々やマンションが建ち並びます。どうやったらここに住めるのかなあ、なんて思いながら歩いていると、近くを品の良い小学生たちが下校して門の中に入っていく姿に出くわしました。

ここの辺りは、3S1Kと呼ばれる、学力レベルが高く、私立中学校への受験率が高い、誠之小学校、千駄木小学校、昭和小学校、窪町小学校の4つの校区でもあります。田舎の公立小学校に通っていた僕には、とても世界の違う場所のように思えました。いいなあ、、、生まれガチャに勝ったともいえる、20歳以上も年下の子どもに憧れを抱きながら、悲しい気持ちで僕は文京区をあとにしたのでした。

勤務医の現実、数字で見る厳しさ

正直、文京区に来て、お育ちの良さそうな小学生達を見る度に、「自分は金銭的にはもう手遅れなのではないか」という思いが頭をよぎります。

医師の給与は、世間一般からすれば高いと言えますが、現実はそう甘くありません。これから先、医療費適正化計画の影響で、私たち勤務医の給与は下がっていく一方です。3億円を超える物件を買うなど、夢のまた夢ではないでしょうか。

ただ、そう思いながらも、「いつかは...」という淡い期待を捨てきれない自分がいます。この矛盾した感情に、どう向き合えばいいのかよく分かりません。

ちょっとだけシミュレーションをしてみます。仮に年収1800万円の勤務医が、3億円の物件を購入しようとした場合、どうなるのでしょう。頭金を5000万円用意できたとしても(かなりキツい)、2億5000万円のローンを組むことになります。

ここで、「そんなローン、そもそも組めるんか?」という突っ込みがありますね。千歩譲って、35年ローン金利0.5%で組めたとしましょう。すると、毎月の返済はおよそ60万円です。年収1800万円だと、手取り月収は100万円切るほどですから、60%がローン返済に消えていく計算です。これでは貯蓄や教育費、他の生活費を考えると現実的ではありません。むり。

憧れの裏に潜む罠

都内に住む医師なら、きっと多くの人が抱くであろう高額物件への憧れ。余裕を持って実現するのであればこの上ないですが、時として危険な罠となるのもまた事実です。

無理をしてローンを組み、日々の生活に余裕がなくなってしまっては本末転倒ですし。この間、医局のとある先輩が言っていました。「高級マンションに住んでいても、毎日の生活に追われて家族との時間も持てないのでは意味がない」と。その言葉が、SUUMOをみて、実際に文京区を歩いた今、より重みを持って感じられます。

では、私たち勤務医にとっての幸せとは何になるのでしょうか。医局に入り、働き方改革とやらでバイト代が減っていく医局員は、何を糧に頑張ればいいのでしょうか。人を助ける使命感だけではやっていけない時代はもうすぐそこに来ているのだと思います。

郊外に出る選択は諦め?それとも前進?

茗荷谷の3億円の物件を目にしてから、僕の中で何かが変わったような気がします。自分の人生の岐路に立たされているような感覚です。

昨日、この話をした同期の佐藤には、「お前さ、いつまで都内にこだわってんの?俺、再来月から埼玉の新座に引っ越すんだ」と言われました。

確かに、新座なら広い一戸建てが手に入ります。庭付きの家で、子供たちが走り回る姿を想像すると、それもいいなあと思います。

でも同時に、なんとも言えない後ろめたさも感じます。「でもさ、それって自分に負けてる気がしないか?」と、僕は思わず口にしてしまいました。

佐藤は少し驚いた顔をしましたが、すぐに笑って「お前、まだそんなこと考えてんの?自分の身の丈にあう範囲で、幸せを追い求めるのが一番っしょ」と返してきました。彼が100%正しい、そう思いました。

その晩、家に帰ってSUUMOを再度開きました。埼玉の物件を見てみると、確かに、予算内で広々とした家が見つかります。でも、画面をスクロールしながら、胸の奥に湧き上がる違和感を、僕はまだ無視できませんでした。

結局のところ、どこに住んでいても、自分次第なのだとは思います。僕が本当に求めているのは、単に高級住宅街に住む自分、という見栄だけなのかもしれません。そのため、「本当に都内でなければダメか」という問いにはNoと答えるべきなんだろうと思います。郊外でも、工夫次第で充実した教育環境は作れるはずですし、住めば都といいますからね。

医者になれば安泰だと思っていた、若かりし頃の自分に言いたいです。その時代は君の頃にはもう終わりを迎えそうですよ、と。きっと真顔で否定されるでしょうけど(笑)。

若手医師のみなさんは、これからの自分の住処についてどう考えていますか?良ければ是非、コメントをいただけたら嬉しいです。お待ちしています。

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Dr.パンダ

この記事のライター

Dr.パンダ

地方出身、中高は公立で東京大学に入学し、医学科に進学して令和X年に卒業しました。現在は、地方の急性期病院にて勤務しています。ひとりの若手医師として心の内をリアルにお届けできればと思います。

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