MD-PhDって何?研究者としての女性医師の働き方について迫ります!

皆さんはMD-PhDについてご存じでしょうか?昨今、臨床だけではなく、研究者としてのキャリアを形成する女性が増えているようです。今回は、MD-PhDの仕組みや国内外のPhD養成のための取り組みについてご紹介していきます!

MD-PhDって何?研究者としての女性医師の働き方について迫ります!

目次

  1. イントロ~女子医学生がMD-PhDについて考える
  2. そもそもMD-PhDって何?
  3. 「MD-PhD」コースのイロハ
  4. 臨床医と研究者の二足のわらじで社会貢献
  5. MD-PhD取得者に残るガラスの天井
  6. 日本におけるMD-PhD取得者はまだまだ
  7. 今後はMD-PhDコースの女性医師にインタビュー
  8. 参考

イントロ~女子医学生がMD-PhDについて考える

私は現在医学部に通う四年生のみどりです。

将来は臨床医として勤務することを夢見てきました。臨床実習を控え、そろそろ就活や将来のことが気になってきた私は、女性医師のキャリアのあり方について疑問を抱くようになりました。

今回気になったのは、「MD-PhDの取得方法と、それによって得られるメリット。

私の大学にも、MD-PhDコースに通う友人がいます。研究室へ通う同期を見て、どのような制度なのか興味を持ちました。今回は、このMD-PhDについて、読者の皆様と一緒に深掘りしていきたいと思います。

みどり
みどり
MD-PhDってよく聞くけど、実際どういうものなのかはよく分かっていません...

そもそもMD-PhDって何?

京都大学医学部のHPによると、「MD-PhD」とは、MD(Medical Doctor)及びPhD(Doctor of Philosophy)の資格を有している人のことを指します。

MDとは「医学士」という意味で、6年に渡る医学部の課程を修了した学生に授与されます。いわゆる「医師」といえば、このMDのことをいいます。

これに対してPhDは「医学博士」という意味で、医学系の大学院を修了した人に与えられる学位です。

みどり
みどり
なるほど、私が卒業後に大学院に進学して医学博士を取ったら、MD-PhDになれるんだ!

「MD-PhD」コースのイロハ

日本国内では、医学部を卒業した学生の多くが研究の道に進まず、臨床医としてのキャリアを選択するという傾向が見られています。

その割合を改善し、研究職に就く若者を増やすため、各大学の医学部で「MD-PhDコースが続々と設立されています。

大学によってカリキュラムの違いはありますが、在学中に研究に親しみ、一定の条件を満たすことで、早期に博士号を取ることができるのです。

MD-PhDコースや研究医を養成するコースは年々増加しており、中にはプログラム独自の奨学金を用意している大学もあります。国立大学医学部長会議のサイトから各大学の取り組みを見ることもできます。

みどり
みどり
各大学、それぞれの特性に合ったコースを用意しているんだ!

臨床医と研究者の二足のわらじで社会貢献

MD-PhDを取得することのメリットとしては、以下のことが挙げられます。

臨床医としての貢献

学会に参加して研究内容を発表する医師の大部分は、普段から臨床業務に取り組んでいます。特に臨床研究の分野でこの傾向は顕著です。自分の専門分野で論文を執筆することで、日々の診療の知見が深まり、分野に貢献することも可能です。

研究者としての貢献

研究者として日々研鑽に励む行為は、分野全体の底上げに繋がります。

もし画期的な発見があれば、多くの患者さんを救うことになるかもしれません。また、研究に臨床の知識が役立つこともあるでしょう。

彼らの存在が、絶え間ない医学の進歩を支えているのです。

みどり
みどり
具体的なエピソードは実際にPhDを取得された先生に聞いてみたいですね。

MD-PhD取得者に残るガラスの天井

コース設立の甲斐もあり、若年層での取得者が増加傾向にある「MD-PhD」。

しかし、MD-PhDコースにもジェンダーギャップの課題があるようです。

2019年に『JCI Insight』に掲載された、米国の80のMD-PhDプログラムを対象にした研究[1]によれば、女性が受けた医学教育と男性のそれには明確な差異が認められなかったにもかかわらず、正規雇用された教員の割合や学術賞の受賞割合は女性のほうが低い傾向が見られたといいます。

また、この論文によれば、医学分野で研究に取り組むMD-PhD(男性2331人、女性694人)のうち、研究助成金の主任研究者である割合は、男性が82%であるのに対し、女性は69%だったそうです。 

日本におけるMD-PhD取得者はまだまだ

日本国内に目を向けると、女性でMD-PhDを取得している方はまだまだ少ないことが挙げられます[2]。

例えば、医学に関する学術職に従事している女性医師の割合は、全従事者の1/4程度。教授となるともっと少なく、およそ4%だそうです。

大学での早期教育を通して間口を広げるのはもちろん、抜本的な働き方の改革が必要かもしれません。

みどり
みどり
MD-PhDの具体的な制度と、今の段階での課題がよく分かりました!

今後はMD-PhDコースの女性医師にインタビュー

お読みいただきありがとうございました。この記事を通して、MD-PhDの概要や現状の課題などをご理解いただけたのであれば幸いです。

iCoiはこれから、実際にMD-PhDコースに進まれている女子医学生の方や、女性医師の先生方にインタビューを行い、そのお声を発信していきたいと考えています。

また、インタビューに応じてくださる方や、「このようなトピックを取り上げてほしい!」といったリクエストがあれば、下記のお問い合わせフォームにご連絡をお願いします!

お問い合わせフォーム

参考

  1. Akabas MH, Brass LF. The national MD-PhD program outcomes study: Outcomes variation by sex, race, and ethnicity. JCI Insight. 2019;4(19):e133010. Published 2019 Oct 3. doi:10.1172/jci.insight.133010
  2. Akazawa S, Fujimoto Y, Sawada M, Kanda T, Nakahashi T. Women Physicians in Academic Medicine of Japan. JMA J. 2022;5(3):289-297. doi:10.31662/jmaj.2021-0116
Asako

この記事のライター

Asako

iCoiの女性ライター。医学生として学業に励む傍ら、小説家・ライターとしても活動しています。

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